平成22年4月20日最高裁判所第三小法廷 判決

残高が上下する場合における利息制限法上の上限金利

【要点】

利息制限法は、貸金の上限金利を、債務残高(元本残)により3種類に分けています。

債務残高が10万円未満年20%
債務残高が10万円以上100万円未満の場合年18%
債務残高が100円以上の場合年15%

まず、約定金利が上限金利を超える場合、上の3種類の金利うちどれを適用すべきかは、約定金利で計算した債務残高(約定残高)はなく、上限金利で計算した債務残高(利限残高)で決まります。

例えば、約定残高は50万円だが、利限残高が40万円というとき、50万円をさらに借りた場合、約定残は100万円でも利限残は90万円ですから、上限金利は年18%のままであり、年15%に下がることはありません。

では当初、利限残高が50万円であったのが、その後返済が進み10万円切るようになったら、10万円を切ったことで上限金利は年20%に上がるかというと、金利は上がることはなく、年15%のままとなります。
※理由は後述の解説で説明します。

【判決】

「継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合には、各借入れの時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項にいう「元本」の額に当たると解するのが相当であり、同契約における利息の約定は、その利息が上記の「元本」の額に応じて定まる同項所定の制限を超えるときは、その超過部分が無効となる。

この場合、従前の借入金残元本の額は、有効に存在する利息の約定を前提に算定すべきことは明らかであって、弁済金のうち制限超過部分があるときは、これを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算することになる。

そして、上記取引の過程で、ある借入れがされたことによって従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における上限額を超えることになったとき、すなわち、上記の合計額が10万円未満から10万円以上に、あるいは100万円未満から100万円以上に増加したときは、上記取引に適用される制限利率が変更され、新たな制限を超える利息の約定が無効となるが、ある借入れの時点で上記の合計額が同項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても、いったん無効となった利息の約定が有効になることはなく、上記取引に適用される制限利率が変更されることはない。」

【解説】

業者が、貸付金利が利息制限法上の上限金利を超えた場合は、超えた部分は無効となります。

たとえば、業者が50万円を年28%で貸し付けていた場合、年18%を超えた部分は無効ということになるので、利率は強制的に年28%から年18%に切り下げられるのです。
ですから、当該貸付についてその後返済が進み、約定利率で計算した残高(約定残高)は50万円でも、上限金利で計算した残高(利限残高)は20万円になっていたとします。このとき業者が70万円を追加して貸し付けた場合、約定残高は120万円になりますが、利限残高は90万円になります。

法的には、利率が28%から18%に切り下げられているのですから、約定残高の120万円というのは法的には全く意味のない残高であり、法的に意味ある残高は90万円意外にはありません。
ですから、約定残高が100万円以上になっても、利限残は100万円未満のままですから、上限金利も年18%のままであり、年15%に下がることはありません。

では、約定残高は20万円でも、利限残高が10万円を切ってしまった場合、法的には20万円という残高は存在せず、法的には10万円未満の残高があるに過ぎません。そうすると、10万円を切った段階で、上限金利も年18%から年20%に上がってしまうことになりそうです。しかし、利率は年18%のままで20%に上がることはありません。
というのも、年28%の金利が、利息制限法により18%を超える部分が無効となった以上(金利が年18%に確定した以上)、その後債務残高が10万円を下回るようになっても、利率が上がることはないというのがその理由です。

【参考条文】

利息制限法第1条

金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

  • 元本の額が10万円未満の場合 年2割
  • 元本の額が10万円以上100円未満の場合 年1割8分
  • 元本の額が100万円以上の場合 年1割5分

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