平成21年12月4日最高裁判所第二小法廷 判決

ライフが旧会社更生法により平成12年6月30日以前に発生した過払金が失権したことを主張しても信義則に反せず、権利濫用にもならない

【要点】

会社更生法では、更生会社に対する債権の届出期間が決められており、届出期間を過ぎた債権は失効します(これを「失権」といいます)。

管財人や更生会社が過払金返還債権がある旨の注意喚起をすることなく、逆に更生会社のカードをそのまま使用できることを広告したという事情があったとしても、届出期間を経過したことを理由に過払金請求を拒絶することは、信義則に反するものでも、権利の濫用になるものでもありません。

【判決】

最高裁は、平成14年改正前の会社更生法においては、更生会社が届出のない更生債権があることを知っていた場合であっても、届出期間をすぎた更生債権は失権するものとされており、また、更生債権者の側において、その責めに帰することができない事由により届出期間内に届出をすることができず、追完もできなかった更生債権についても、当然に失権するものとされていたことを述べた後で、
「管財人等が、被上告人の顧客の中には、過払金返還請求権を有する者が多数いる可能性があることを認識し、あるいは容易に認識することができたか否かにかかわらず、本件更生手続において、顧客に対し、過払金返還請求権が発生している可能性があることや更生債権の届出をしないと失権することにつき注意を促すような措置を特に講じなかったからといって、被上告人による更生債権が失権したとの主張が許されないとすることは、旧会社更生法の予定するところではなく、これらの事情が存在したことをもって、被上告人による同主張が信義則に反するとか、権利の濫用に当たるということはできないというべきである。そして、このことは、過払金返還請求権の発生についての上告人らの認識如何によって左右されるものではない。」

「前記事実関係によれば、被上告人の保全管理人は、新聞紙上に『ライフカードは、これまで通りお使いいただけます。』という見出しで本件社告を掲載し、従前どおりの取引を継続するよう求めたというのであるが、本件社告は、カード会員の脱会を防止して会社再建を円滑に進めることを目的として行われたものであって、その目的が不当であったとはいえず、その内容も、顧客に対し更生債権の届出をしなくても失権することがないとの誤解を与えるようなものではなく、その届出を妨げるようなものであったと評価することもできない。そうすると、本件社告が掲載されたからといって、被上告人による失権の主張が信義則に反し、権利の濫用に当たるということはできない。」としました。

【解説】

本件はライフ(現在はアイフルに吸収合併)に関する判決です。

ライフは、平成12年5月19日、会社更生法に基づき更生手続開始を申立て、同年6月30日更生手続開始決定を受け、その日以前に発生した債権は、届出期間内(同年8月15日)に債権届出をしないことで失権してしまいました。

ライフは既存債権につきひき直し計算をせず、会員に過払金の存在の可能性を通知することも、過払金債権を届け出るように広告することもしませんでした。
逆にライフの保全管理人は、カード会員の脱会を防止することを目的として、開始決定が出る前の同年6月2日、新聞に「ライフカードは、これまで通りお使いいただけます。」という見出しの社告を掲載していました。

当時、ライフには約632万人のカード会員が存在し、過払金が発生していた者も多数いたはずですが、当時はまだ過払金というものが世間に知られておらず、届出期間内に過払金返還請求権を更生債権として届出をした人はわずか2名に過ぎませんでした。

当時の会社更生法によれば、更生会社の側において、届出がされていない更生債権があることを知っていた場合であっても、当該更生債権は失権するものとされており、また、更生債権者の側において、会社から知らされないため届出も、その後の追完もできなかった更生債権についても、当然に失権するものとされていました。

そのため、最高裁は、ライフが会員に過払金が存在する可能性を伝えなかったとしても信義則に反しないし、「ライフカードは、これまで通りお使いいただけます。」という見出しの社告を掲載したのも、顧客が流出し、会社の資産価値が減少することを防ぐと言う正当な目的のためになされたものだから、これをした上で、失権効を主張することも信義則に反しないとしました。

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