文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明弁護士が出演 121回テーマ 「親の権利と子どもの幸せ」編

2011年06月14日

121回テーマ 「親の権利と子どもの幸せ」編
2011年6月14日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明(なかはら としあき)代表弁護士

121回テーマ 「親の権利と子どもの幸せ」編(6月14日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
このところ多いのが、児童虐待のニュースです。周りの大人がどうにかできなかったものか…と、言葉をなくしてしまうことが多いですよね。

中原
厚生労働省によれば、児童虐待の相談件数は、2009年度は4万4211件で、過去最多でした。

邦丸
「家庭」という密室での出来事ですから、表沙汰にならないケースもあるはずです。救いを待っている子供たち、まだたくさんいるはずですね。

中原
実は先日、国会で、「親の権利」と書く「親権」の制度を見直す、民法の改正が行われました。今までよりも、少し踏み込んで保護ができるようになり、行政や児童相談所など現場では期待が高まっています。

「親権」は、未成年の子どもを育てるために、親が持っている権利と義務をひっくるめて指す言葉で、民法に定められています。子どもを保護監督、教育する権利、住む場所を決める権利、財産を管理する権利などを指します。

邦丸
その「親権」、どんな改正が行われたんですか?

中原
民法には、親があまりにもひどい場合、親の権利を奪う、 「親権喪失」という規定があります。ただ、どれくらいの間…という期間が定められていないので、いったん適用してしまうと、親子の間が断絶する可能性が…虐待がひどいけれど、親もいずれ更生するかもしれない…そう考えると、相談所も申し立てをためらうことが多く、これまであまり活用されてきませんでした。

邦丸
親子関係を断ち切るとなると、重い決断ですよね。

中原
そうですね…ですが、虐待している親が、この「親権」をタテに、子どもを強引に連れ戻したり、学校に通わせなかったり、病気や怪我をしても医者に診せなかったり…というケースも多かったんです。そこで、今回、なんとか子どもたちを守りやすくしたい、…という関係者の努力が実って、法律の改正が行われました。

邦丸
具体的には、どんな形になったんですか?

中原
今回、「親権」は「子の利益のための制度」であると条文の中に、新たに書き込まれました。そして、親権を柔軟に取り扱えるように、 「父または母による親権の行使が困難または不適当」な時は最長2年間の期限つきで親権を停止できることになりました。

邦丸
断絶ではなく、期限つきの停止なんですね。

中原
ええ。それから、裁判所に対して親権喪失の審判を請求するのは、これまでは親族、検察官、そして児童相談所の所長だけでしたが、「虐待されていた本人」や「その後見人」も請求できることになりました。

邦丸
親権が停止されている間、子どもはどうなりますか?

中原
虐待された子が養護施設などに保護された場合、親権を停止されている親は強引に連れ帰ることができません。親の同意なしに、医者に診せることもできます。

邦丸
さきほどの「子供の利益のため」というのが表れていますね。

中原
もちろん、ただ親から遠ざけるのではなく、施設などでは、きちんとした親子関係に戻せるよう、仲介を行ったり、カウンセリングを紹介するなどします。親の心も、なんとか救っていきたいということなんです。新しい制度が機能するか、見守っていく必要がありますね。

邦丸
いずれにしても、子どもが救われる可能性は高まった、ということは言えそうですね。