文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹弁護士が出演 134回テーマ 「パワハラにハラハラドキドキ」編

2011年09月13日

134回テーマ 「パワハラにハラハラドキドキ」編
2011年9月13日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん(夏休み中)
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹(やまだ・ふゆき)弁護士

134回テーマ 「パワハラにハラハラドキドキ」編(9月13日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

鈴木

9月、人事異動の季節。今日はサラリーマンにとって深刻な、「パワー・ハラスメント」、いわゆる「パワハラ」がテーマですが、相談が増加傾向にあるようですね。

山田

今年5月に発表されたアンケート結果では、パワハラを受けたと答えている人が、全体のおよそ20%。男女では男性の方が多く、4人に1人が「被害にあったことがある」と答えています。
また、先程「サラリーマンにとって」とのお話でしたが、これは会社でなくても、学校、役所、どんな組織でも起こりうることなんです。例えば、今年8月には、京都府警の30代の巡査長が、上司である40代の警部からパワハラを受け、うつ病になったとして、傷害罪の告訴状を京都地検に提出した・・・というニュースがありました。

鈴木

おまわりさんが、おまわりさんを訴えたのですか?

山田

報道によると、半年以上にわたり同僚の前で長時間叱り続けた。また、この巡査長の仕事ぶりばかり執拗にチェックしていたそうです。あまりのことに、巡査長は心を病んでしまい、3~4ケ月の休養が必要な重度のうつ病になってしまったそうです。
これは、かなり深刻なケースですが、普段の仕事の中で、上司が部下を叱ることは珍しくありません。どこからが「パワハラ」になるのか、そこが難しい。世代によって認識も異なります。部下のため、と思ってやったことが結果的にパワハラになってしまった、また無意識にパワハラしているケースもあります。

鈴木

法律で「これはパワハラです」と決めてあるものはないのですか?

山田

法律にはありませんが、一般的には「職権などのパワーを背景として、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、それを受けた就業者の働く環境を悪化させ、あるいは雇用に不安を与えること」と定義されています。

鈴木

具体的にはどういう行為がパワハラとされていますか?

山田

パワハラに当たるのは、
・「お前なんか給料泥棒だ」などという、人格を否定するような暴言の類。
・「無能だな」程度の言葉でも、指導の度に繰り返すとなるとパワハラ。
・椅子を蹴飛ばしたり、書類を投げつけるとか乱暴な行動も。
・実現不可能な仕事を与えたり、無駄な作業をわざとさせる。
・逆に仕事を与えられず無視される。
・私的な買い物をさせるなど、業務に関係ない行為をさせる。
などの行為です。

また、上司の側で次のように感じることがあったら、自分でも気がつかないうちにパワハラをしている可能性があるので、気をつけてください。
・「部下を叱るとき、人前かどうか気にしない」
・「『自分の意見を言わない』部下が多い」
・「『病気がち、休みがち』な部下が多い」
・「人は苦労が多いほど、成長するものだと思っている」
・「デキの悪い部下ばかり割り当てられている気がする」

鈴木

心当たりがある方もいらっしゃるのでは?

山田

自分自身のチェックポイントとしては、感情に任せて言ってないかどうか振り返ってください。感情的になっている時というのは、パワハラを行いがちです。ただ、パワハラをしている人というのは、自分ではパワハラをしているなんて思ってもいないんです。だから、周りとか、その上司とかでチェックしないと、なかなか無くすことはできませんね。

鈴木

会社としては、どんな対策が考えられますか?

山田

会社は、パワハラに当たる行為を明文化するのが効果的です。また、定期的にアンケートを実施して、パワハラ行為がないかチェックしたり、管理職向けの研修を行うなどして、対策を取っておくといいでしょう。従業員を守り、ひいては会社を守ることにもつながります。働きやすい職場環境をつくるため、ぜひご検討いただきたいところです。