文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/424回テーマ 「自己破産、13年ぶりに増加」編

2017年05月09日

代表の中原です。

先日,旅行代理店の破産が大きなニュースとなり,個人の自己破産申請も,昨年は13年ぶりに増えたという報道もあって,本日のくにまるジャパン極では,自己破産についてお話ししてきました。

個人の方の破産申立件数は,2003年の24万件をピークに,12年連続で減っていて,一昨年は6万3800件でしたが,それが去年は700件ほど増えました。とはいえ,ピーク時の4分の1程度に減っています。
自己破産が多かった頃は,消費者金融のCMも多かったですし,貸付総額の規制もありませんでした。返済のために別の業者から借金を繰り返す「多重債務者」が増えて,借金苦による自殺も社会問題としてクローズアップされていました。そこで,2006年に貸金業法が改正されて,2010年には,借入は年収の3分の1までといういわゆる「総量規制」が導入されました。これにより自己破産申立件数は年々減っていったというわけです。

ところが,今回,13年ぶりに増加となったわけです。その理由の一つとして考えられるのが,銀行のカードローンによる貸付です。こちらは総量規制の対象外なので,年収の3分の1を越えても,融資が受けられることがあります。日銀の統計を見ても,2008年には,消費者金融や信販会社の貸付総額は,銀行のカードローンより,およそ11兆円も多かったのですが,2015年にはとうとう逆転したことがわかっています。
銀行のカードローンも総量規制の対象にするべきと考える人も多いと思います。日弁連もそうした内容の意見書を政府に出していますし,私も同じ考えです。ただ,理由はそれだけではありません。日頃,多くの依頼者の方々と話をしていて,20代,30代の若い人からの相談が増えているように思います。就職氷河期であったり,非正規雇用で苦しんでいる世代です。正社員として就職できず,学生時代の奨学金の返済に困って借入したり,それがきっかけでさらに複数の業者からの借入で返済に行き詰ってしまう,こうした相談がとても多くなってきています。
借金問題,すなわち,社会問題と考えています。

昔は,ある程度収入のある人が,娯楽や飲食のためにお金を借りて行き詰るケースが多かったですが,今は生活費が目的で,少しずつ借入が増えて利息が払えなくなることが多いんです。そもそも返済に回せる収入が少ないので,弁護士が入っても任意の交渉で解決できず,自己破産を選択せざるを得ないというケースも増えています。

毎日の生活の中では,自分で気づくことはなかなか難しいと思いますが,借金を抱えていて,少し返済しては,空いた枠でまたお金を借りてしまうという状況の方は,黄色信号です。利息ばかりを返済して元金はなかなか減らず,数カ月先には,にっちもさっちもいかなくなる可能性があります。

借金問題は,やっぱり恥ずかしいと思われる方が多いせいか,結局,後手後手に回ってしまいがちです。自分一人で抱えこまず,専門家に相談して欲しいと思います。弁護士には守秘義務がありますし,法律的な視点から解決策を検討することもできますので,手遅れになる前に,是非,法律事務所に相談していただきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇424回テーマ
 「自己破産、13年ぶりに増加」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士