最高裁判決の要点と解説

18条書面を7日後に交付した場合は「直ちに」交付したものとはいえず、みなし弁済は成立しない

平成16年7月9日最高裁判所第二小法廷判決

要点

ATMで返済する場合は受取書(利用明細)がすぐ発行されますが、銀行振込での返済に対して受取書を発行するとなれば郵便で送付するしかありません。

貸金業法18条は「直ちに」交付することを求めており、弁済後7~10日では「直ちに」交付したとはいえず、みなし弁済は成立しないとしました。

判決

被上告人は貸金業者、上告人は借主の会社とその保証人です。

「17条書面の交付の場合とは異なり、18条書面は弁済の都度、直ちに交付することが義務付けられているのであるから、18条書面の交付は弁済の直後にしなければならないものと解すべきである(前掲最高裁平成16年2月20日第二小法廷判決参照)。前記のとおり、被上告人は、前記各弁済を受けてから7ないし10日以上後に上告人株式会社Y1に対して本件各受取書を交付しているが、これをもって、上記各弁済の直後に18条書面を交付したものとみることはできない(なお、前記事実関係によれば、本件において、上記各弁済について法43条1項の規定の適用を肯定するに足りる特段の事情が存するということはできない)。」

17条書面は貸金業法第17条が貸付の際に交付すべきとしている契約書面のことをいい、18条書面は貸金業法第18条が貸付の際に交付すべきとしている受取書面のことをいいます。

解説

旧貸金業法第43条第1項は、利息制限法に反する利息でも、①一定の範囲内の利率(グレーゾーン金利)であれば、②法定事項を記載し書面が、貸付の場合は貸付後速やかに、返済の場合は直ちに交付され、③債務者がそれでも高い利息を任意に支払う限り、「有効な利息の債務の弁済とみなす」と規定していたため、この「みなし弁済」が成立すると、過払金はとれないことになっていました。

貸金業法18条により、貸金業者は、債務者から弁済を受けたときは、「直ちに」18条が規定する事項を記載した受取書面を債務者に交付しなければなりません。

貸金業者は、弁済を受けてから7~10日後に18条書面を交付していましたが、第2審の東京高裁は「ただちに」交付しているとして、みなし弁済の成立を認めましたが、最高裁は7~10日後では、「ただちに」交付したとはいえないとして、みなし弁済の成立を否定し、業者は過払金を支払うべきとしました。

平成16年2月20日最高裁判決(平成15年(オ)第386号事件)では20日後は「直ちに」とはいえないとしていましたが、この判決で7日でも「直ちに」とはいえないことになりました。

本判決は、現在も、業者が悪意の受益者であったことを主張する際に、活用されています。

借主が返済前に法定記載事項記載ある書面を受け取り、同書面を使用して振込をしたとしても、法43条1項の適用はない

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