最高裁判決の要点と解説

たとえ自動更新条項があっても、契約切替があれば原則分断となる

平成23年7月14日最高裁判所第一小法廷判決

要点

基本契約に基づき、貸付け、返済が繰り返されてきましたが、次のようなブランクを経て、新たに契約を締結し直して新たな取引が行われてきた事案です。

基本契約1に基づく完済時と、基本契約2に基づく初回借入の間に、約1年6か月
基本契約2に基づく完済時と、基本契約3に基づく初回借入の間に、約2年2か月
基本契約3に基づく完済時と、基本契約4に基づく初回借入の間に、約2年4か月

過払金請求者は、基本契約1~3に自動更新条項があるから、契約1~4が更新でつながっており、契約が、切替え、切替えでつながっているとして、事実上1個の連続した取引として、過払金を計算すべきと主張しましたが、最高裁は各取引ごとに過払金を計算するものとして、この主張を認めませんでした。

判決

最高裁は平成20年1月18日第二小法廷判決を引用し、同判決からすれば当然としています。

それでは不親切と考えたのか金築誠志裁判官が次の補足意見を述べています。
「法廷意見が引用するように、最高裁平成20年1月18日第二小法廷判決は、中断期間を置いて複数の基本契約に基づく貸付取引が存在する場合に、事実上一個の連続した取引であると評価できるか否かは、取引の中断期間等のいわゆる6要素を考慮して決定されるべきものとしている。自動継続条項が存在することを主要な理由として取引の一連一体性を認める原審の見解によれば、中断期間の長短などは問題にならなくなるのであるから、原審の見解が上記判決の趣旨に沿わないことは明らかであろう。貸金業者の締結する金銭消費貸借基本契約に、本件と同様の自動継続条項が盛り込まれている場合が多いことは、当裁判所に顕著な事実であるところ、上記判決は、法律的には別個の基本契約が存在する場合に、これらに基づく実際の取引が中断していた期間の長短、その間における貸主と借主との接触の状況、新たな基本契約が締結されるに至る経緯といった、取引の事実上の側面に重点を置いた6要素を総合的に考慮して一個の連続した取引と評価し、充当合意を認定すべきものとするものであって、自動継続条項に基づく法律的・形式的な契約の継続は、考慮に加えるべき重要な要素として位置付けていないと解される。新たな取引とみるかどうかについて、このように事実上の側面に重点を置くことは、消費者等の取引当事者の通常の見方にも合致するように思われる。また、本判決の考え方は、過払金返還請求権の消滅時効の起算点を、特段の事情がない限り取引終了時とし、自動継続条項による基本契約の効力継続の点を問題にしていない、最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号247頁とも、整合的であると考えられる」

解説

基本契約1ないし基本契約3には、いずれも、当初の契約期間の経過後も、当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し、その後も同様とする旨の定め(以下「本件自動継続条項」といいます。)がありました。消費者金融、信販会社の基本契約には、大抵この条項が入っています。

原審判決は、完済後際借入までの間にも、2年ごとの契約期間の自動継続がされていたとして、上記各期間を考慮することなく、基本契約1ないし4に基づく取引は、事実上1個の連続した貸付取引であり、基本契約1ないし3に基づく取引により発生した各過払金をそれぞれ基本契約2ないし4に基づく取引に係る借入金債務に充当する旨の合意(過払金充当合意)が存在するとしました。

それに対して、最高裁は、平成20年1月18日第二小法廷判決を引用し、約1年6か月、約2年2か月及び約2年4か月の中断期間があるにもかかわらず、基本契約1ないし3に自動継続条項が置かれていることから、一連の貸付取引であるとした原審判決の判断は誤りであるとしたものです。

裁判実務では、異なる基本契約に基づく取引間に、1年以上の分断がある場合、一連の貸付行為と認められることは皆無といってよいでしょう。
本判決はこうした裁判実務を肯定したものといえます。

取引が完済となった後、基本契約を新たに締結し、借入れが再開された場合、取引は特段の事情ない限り分断となる

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