弁護士 谷崎 広輝
弁護士

谷崎 広輝KOUKI TANIZAKI

東京弁護士会所属
経歴
  • 中央大学法学部 卒業
  • 上智大学法科大学院 修了
  • 司法修習(宮崎県)
  • 弁護士登録(東京弁護士会所属)
注力分野
委員会
今後の生活の立て直しのためにどうすればよいのか、
前向きに力を貸していくのが相談を受けた弁護士としての仕事の第一歩だと考えています。
ごあいさつ

はじめまして。東京弁護士会所属の谷崎広輝と申します。

弁護士として仕事をしていると、思い描いていた理想の仕事の進め方と、現実にできる仕事の進め方との間にギャップを感じることが多くあります。

法律問題は、人と人とのトラブルを法律でどう解決するかというものですから、残念ながら全員が大満足で解決するというのは難しいものです。誰かは不満が残る結果になるでしょうし、感情的なもつれが大きい事件では、法律的な結果がよければそれでよいという簡単なものでもありません。

弁護士としてどう仕事をしていくべきか、私が決して忘れないようにしていることは、お客様からご依頼いただいた弁護士は自分であり、自分が最後まで責任をもって仕事をしなければならない最終責任者だという意識を持ち続けることです。

弁護士からすると多数抱えている事件の1つであっても、ご依頼者様からすると、その事件についての唯一の弁護士です。当たり前のことですが、このことを忘れずに、ひとりひとりのご依頼者様と真摯に向き合い、事件の解決に努めることを心がけています。

弁護士になったきっかけ

ジャーナリストを目指し法学の道へ

大学受験を控えた高校生のころ、どの学部を受験するか、自分は将来なにをしたいのか、現実の職業選択として、初めて自分の今後を真剣に考えるようになりました。

いくつか候補を考えたなかに、社会問題に切り込んでいくジャーナリストになりたい、具体的には新聞社や報道機関に就職して記者として仕事をしたいというものがあり、そのために国家や政治のあり方について勉強ができる法学部に進学することにしました。

大学では、1年生のころからコミュニケーション論(マス・コミュニケーション)に関するゼミに所属し、メディア論やジャーナリズム論、政治学、社会学などの講義も受講しましたが、それらの講義のなかでハンス・ケルゼンやカール・シュミットなど歴史的な法学者の名前を知り、次第に法学に興味を持つようになりました。大学2年生の夏休みに、図書館に通って、カール・シュミットの『憲法論』(阿部照哉・村上義弘訳、みすず書房)を読んだことが、今でも強く印象に残っています(私には難解すぎて内容はほとんど理解できませんでしたが・・・)。

司法制度改革を目の当たりにし、弁護士になることを決意

私が大学に在籍していた時期は、司法制度改革の真っただ中で、法科大学院が開校し、法テラスが開設され、裁判員制度が始まるなど、日本の司法制度が大きく変動している様子を目の当たりにしていました。

特に裁判員制度は日本の刑事裁判を大きく変えるものでしたから、私も刑事司法制度の勉強をしたいと考え、刑事法の分野の本を読んでいるうちに、これまで刑事弁護人が果たしてきた役割について知ることになり、弁護士という職業に惹かれていきました。

例を1つあげると、「当番弁護士制度」というものがあります。これは、弁護士が逮捕された人に1回無料で面会に行くというものですが、大分県弁護士会が全国で最初に始めて、そこからまたたく間に全国に広がりました。当番弁護士制度が広がるまでは、警察が捜査段階で弁護士を意識することはまずなかったと言われています。それが、当番弁護士制度が広がると、捜査段階における弁護士の存在が大きくなり、のちには司法制度改革でも被疑者公的弁護制度の導入が議論され、現在では刑事訴訟法が改正されて勾留中の被疑者への国選弁護制度ができるまでになりました。こうした制度改革の背景には、各々の弁護士が独立した法律の専門家として、国の司法制度がどうあるべきかを考えて行動したという事実があるのだと思います。

今になって思い返すと、法科大学院に進学して司法試験を受験しようと決意したのも、このような司法制度改革を目の当たりにして、弁護士が司法制度を担うプレイヤーとして、国のあり方をより良いものに変えていくことができるのだと知り、高校生のころに考えていた、社会問題に切り込んでいくジャーナリストと通ずるものを感じたからだと思います。

債務整理で心がけていること

今後の生活の立て直しのために力を貸していく事が弁護士としての仕事

債務整理の相談を受けるときには、相談者の方に、借金をしているのは恥ずかしいことだとか、悪いことだと考えていて、借金問題を弁護士に相談することについて後ろめたさがあるのではないかという点を常に考えています。

なかには開き直ってしまって、借金をして何が悪い、返せなくて何が悪い、というような態度の方もおられますが、そんな人はごく少数です。ほとんどの方が、多少の後ろめたさを感じながらも、生活のために勇気を出して相談に来られます。そうした方に対して、過去に借金をしたことを責めるのではなく、まずは今後の生活の立て直しのためにどうすればよいのか、前向きに力を貸していくのが相談を受けた弁護士としての仕事の第一歩だと考えています。

債務整理はすぐに終わるものではなく、ご依頼を受けてから業務が終了するまでにはある程度の期間があります。そのなかで、借金をして返せなくなってしまったという過去の失敗に対して、私から指摘するのではなく、自分自身で何が悪かったのかを振り返ってもらうことが重要だと考えています。なかなか気づいてもらえない方には、私から生活の問題点を指摘することもありますが、やはり自分自身で気づいて反省しないと、他人から指摘されても生活を見直すことは難しいのだろうと思います。

「もう今後は絶対に借金はしないです」という言葉に考えさせられた

債務整理の相談を受けていると、多くの方が、債務整理をしたあとはどれくらいすればまた借入ができるようになるかを気にして質問をされます。私としては、債務整理をしたのだから今後は借入をしないで生活をしてほしいと思いながらも、ほとんど事務的に信用情報の取り扱いなどを説明しているのが現状です

ところが、ある日、自己破産の免責審尋(裁判所での面接)が終わったあとに、依頼者の方に今後の生活について説明をしているなかで、私が「今後は借入をしようとしてもある程度の期間は審査に通らなくなりますが、また借入ができるようになるとすれば・・・」と、信用情報の取り扱いや、今後7年以内に再度の破産をしても免責が認められないという免責不許可事由の話をしようとしたところ、その依頼者の方が、最後まで私の話を聞くことなく、「もう今後は絶対に借金はしないです」という言葉を口にされたことが心に残っています

本来は、私のほうから、債務整理(自己破産)をしたのだから今後は借入をするべきではないと話をすべきところを、依頼者の方から先に言われてしまい、依頼者が過去の失敗を反省して生活再建に向けて一歩を踏み出していると感じるとともに、私自身も、何のために債務整理をするのかを改めて考えさせられるきっかけにもなりました

東日本大震災と法律家のかかわり

ところで、私が債務整理を弁護士業務として意識したきっかけのひとつに、東日本大震災があります。

当時はまだ司法試験に向けて受験勉強を始めた頃で、法律家が東日本大震災の被災者に対してどのように力になれるのかを議論している様子を学生の立場から見ていました。そのなかで被災者の債務問題が取り上げられており、のちに「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の策定に至り、法律家の仕事にはこういうものもあるのかと気づかされました。

また、この頃は、リーマン・ショックの影響が残っている時期でもあり、実務家教員の講義では金融問題や破産・事業再生などの話題も取り扱われていました。

私は司法試験では倒産法(破産法・民事再生法)を選択科目に選んだのですが、それもこのような社会情勢のなかで弁護士としてどのような仕事をしていきたいのかを考えた結果であり、実際に弁護士になってからも、破産や個人再生の事件を数多く取り扱っています。

ひとこと

新しい法律問題にも果敢に挑んでいけるような弁護士でありたい

コロナ禍で日常生活が大きく変わり、あまり家から出ない日々が続いています。巣ごもり需要という言葉も表れました。私も、これまでは時間泥棒だからという理由で加入していなかった動画配信サービスに加入して海外ドラマを見るようになりました。お笑い芸人のネット配信もよく見るようになりました。もともと旅行や食べ歩きが好きで、時間があればどこかに行っていたのですが、コロナ禍以降は飛行機に乗ることもなくなりました。近所のお気に入りの飲食店も臨時休業したまま営業再開することなく閉店してしまい、もうあの味が食べられないのかと思うと寂しい気持ちになります。

一方で、こうした生活スタイルの大きな変化をビジネスチャンスとして、急成長した業種もあると思います。すぐに思いつくところとしてはフードデリバリーサービスでしょうか。私も、コロナ禍以前にはそういうサービスがあるというのは知っていたけれども、実際に使うことはなかったのですが、コロナ禍以降は頻繁に利用するようになりました。

社会の変動にあわせて、新しい法律問題も生まれてきます。相談者の方から学びを得ることも沢山あります。AIを利用したサービスなど、法律相談を受けて、初めてそういうサービスがあるのだと知ったものもあります。今後も業務内外を問わず新しい知識を吸収していき、新しい法律問題にも果敢に挑んでいけるような弁護士でありたいと考えています。

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