自己破産すると、クレジットカードは使えなくなる?

自己破産すると、クレジットカードは使えなくなる?

自己破産すると、クレジットは使えなくなる?

自己破産をすると、5~10年、自己破産手続を取ったという記録が信用情報に残ります。その間は、基本的にクレジットカードを利用したり、新たな借入れをしたりすることはできなくなります。

信用情報とは、ご自身のローンやクレジットなどに関する契約内容や支払状況など信用情報機関が管理している情報を指します。信用情報に登録されている主な情報には、以下のようなものがあります。

  • 氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先等のご自身に関する情報
  • 業者名、および、その業者との契約日、取引形態(キャッシング、クレジット、リース、保証等)などの契約情報
  • 残高や毎月の支払い状況、最終入金日など、返済に関する情報

この信用情報に、自己破産をしたことが記録されるため、一定の期間、クレジットが使えなくなるのです。

携帯やETCカードはどうなる?

クレジットカードが使えなくなると、携帯電話やETCカードがどうなるのかと気になる方もいるでしょう。

携帯電話

携帯会社に対する債務がなければ、携帯電話の利用を継続することは可能です。ただし、携帯電話の通話料金などの電話料金をクレジットで支払っている方は、電話料金を滞納していない状態で、決済方法をクレジット以外の決済方法に変更する必要があります。また、携帯電話を割賦契約で購入している場合で、まだ支払いが残っていると、使用できなくなる可能性があるので注意しましょう。

ETCカード

ETCカードの支払いに利用しているクレジットカードが使えなくなるので、ETCカードも使えなくなります。ただし、高速道路会社6社が共同で発行している「ETCパーソナルカード」は保証金を預託することで申し込むことができるので、そちらへの切り替えを検討しましょう。ETCパーソナルカードはクレジットカードを利用するわけではないので、自己破産後も安心して使うことができます。ETCパーソナルカードについての詳細は、こちらのサイトを参照ください。

NEXCO中日本「ETCパーソナルカードのご案内」
https://dc2.c-nexco.co.jp/etc/service/personalcard.html

クレジットカードを持つことのリスク

クレジットカードは便利なものですが、持つとリスクを伴うのも事実です。近年は、ネット上での通信販売や、オークションなど、インターネットを通じて様々なものが購入できるようになりました。また、スマートフォンの普及から、アプリや動画配信などのサービスも多様化し、それらの決済方法として、クレジットカードの利便性はさらに高まっています。
その他にもクレジットカードを使うことでサービスを追加で受けられたりもすることから、普段あまりクレジット決済を利用しない方でもクレジットカードを持っている方も増えています。

しかし、クレジットカードは通常リボルビング払いが可能なため、日常の買い物について利用し始めると、最初のうちは返済が問題なくできているため、気づかないうちにクレジットの残高が増えていき、いつまで経っても返し終わらないという状態になって、相談に来られる方が非常に多いのです。
そのため、常に、残高は把握して、ご自身の収入に見合っているかを意識する必要があります。

クレジットカードの支払いを延滞すると?

支払いが61日以上遅れたり、支払いを3回以上延滞したりすると、信用情報機関に「延滞」という形で情報が登録されてしまい、遅れたカードだけでなく、他のカードも使えなくなってしまいます。

信販業者の殆どが加入するCICという信用情報機関では、直近2年間の支払い状況が確認出来るようになっていて、支払日に遅れずに支払えば「$」マークが、1日でも延滞した場合には、「A」マークが記録されることになっています。業者によって審査基準が違いますが、「A」マークが2年間で一つでもあればカードが作れなくなる可能性があります。

こちらもクレジット会社によって頻度は異なりますが、途上与信といって、クレジットカード発行後も、クレジット会社は、定期的に支払い状況をチェックすることで、与信審査をしています。その過程の中で、こうした情報が発覚すると、他のカードの利用も停止されてしまうこともあるのです。

クレジットカードの使い過ぎが理由で自己破産できない?

自己破産申立をしても、借金の主たる理由がクレジットカードの使い過ぎで、それが浪費行為と認められる場合、免責不許可事由といって、借金の支払い義務が免除にならない(免責不許可)可能性があります。

しかし、浪費による借金が理由で破産した場合でも、浪費したことを正直に申告し、十分反省し、今は自分の収入の中で健全な家計を営んでいるという場合は、免責不許可事由には該当するものの、裁判所が裁量により借金を免責してくれるのが普通です。

実際に、浪費だけが原因で免責が不許可になることはなく、浪費した事実を隠したり、財産を隠したり、一部の借金を秘密にし、その借金だけを優先的に返済したり、裁判所に出頭しなかったり、といった事実があって初めて免責不許可になるという場合が多いのです。実務上、破産手続に誠実に対応すれば、免責不許可になることはほとんどありません

自己破産後にクレジットを新しく作るには?

自己破産をしたという事故情報が信用情報に残っている期間(5〜10年)は、クレジットカードを新しく作ることはできません。ただし、その期間が過ぎると、クレジットを作れるようになります。

事故情報を登録している期間は、信用情報機関によって異なります。CICとJICCは、免責許可決定から5年間、KSC(全銀協)は免責許可確定の官報掲載から10年間といわれています。ただし、期間については多少前後する場合がありますので、5年経てば必ずクレジットカードが作れるというわけでもありません。

信用情報は、信用情報機関から書面で開示請求することができます。取寄せ方法など詳しくは、各信用情報機関のサイトに説明が載っています。

CIC
https://www.cic.co.jp/
JICC
https://www.jicc.co.jp/
KSC
https://www.zenginkyo.or.jp/

信用情報の開示請求により事故情報が載っていないことが確認できれば、新たにクレジットカードを作ることができる可能性があります。

自己破産で家族カードはどうなる?

自己破産をすると、信用情報に事故情報が記録されている5~10年は、基本的にクレジットカードを利用することができなくなります。自己破産をしたご本人のカードが親カードである場合、ご家族が持っている家族カードも使用できなくなります。なお、家族カードの利用分も破産手続きに含まれます。

デビットカードは使用できます

デビットカードは、銀行口座と紐付けられ利用限度額も設定されますが、クレジットカードと違って、その決済は借入れではなく、即座に銀行口座の残高から引き落とされます。そのため、自己破産しても、デビットカードは使用できます。なお、デビットカードを作るにあたってはカード会社が信用情報機関を利用して審査を行なわないので、自己破産後でも新規作成することができます。

交通系ICカード、流通系ICカードやプリペイドカードは使用できます

Suicaなど交通系ICカード、WAON、nanacoなどの流通系ICカードは、事前に現金をチャージしておけば、キャッシュレスで決済することができます。また、QUOカードや図書カードのようなプリペイドカードも、当然、使用することができます。

自己破産以外の解決策

クレジットカードの借金問題を解決するには、自己破産以外に二つの方法があります。

一つは、自己破産と同じ法的整理(裁判所を通す手続き)である個人再生です。
これは、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。自己破産の場合は、一定の価値がある所有財産は処分の対象になってしまいますが、個人再生の場合は、ある程度の資産を持ったまま手続きができます。特に、住宅ローンが残っている自宅を所有されている場合に、手続きを取られる方が多いです。

もう一つは、任意整理です。
例えば、クレジットカードも1枚だけの利用であればともかく、2枚、3枚とクレジットとキャッシングに使うとなると、毎月の返済額は急速に増えていきます。
ショッピングの場合、負債の全体額を減らすことはできませんが、弁護士に依頼して、任意整理を行なえば、毎月の返済額を減らしてもらうことは可能です。クレジットカードで支払いの金額が大きくなりすぎて払えなくなったという人は、任意整理手続きを行ない、月々の返済額を減らすことができる場合があるので、ご相談ください。

なお、クレジットカードのキャッシングを利用している場合は、キャッシングは利息制限法が適用されます。利息制限法以上の金利で借入していた場合は、減額することができる場合や過払い金がある場合がありますので、キャッシングの利用がある方はご相談ください。ただし、ショッピング利用をした場合の分割手数料は、利息制限法の対象にはなっていませんので、減額ができたり過払い金が発生していたりすることはありえません。

代表弁護士中原俊明
代表弁護士 中原俊明 (東京弁護士会所属)
  • 1954年 東京都出身
  • 1978年 中央大学法学部卒業
  • 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
  • 2008年 法律事務所ホームワン開所

債務整理、特に破産事件を数多く取り扱ってきた。これまでに破産申立を行なった件数は6000件以上。依頼人の利益を考えることを第一に、法律サービスをもっと身近なものにしていくことを目指す。東京弁護士会春秋会の一員として編集に携わった書籍に『実践 訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる-』などがある。

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