文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明弁護士が出演 136回テーマ 「会社の名義と住所に注意」編

2011年09月27日

136回テーマ 「会社の名義と住所に注意」編
2011年9月27日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明(なかはら・としあき)弁護士

136回テーマ 「会社の名義と住所に注意」編(9月27日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸

この時間では、何度も「詐欺」を取り上げてきました。
次から次へと新しい手口が生まれてくるのも驚きますが、最近では被害者から現金を受け取るのではなく、銀行口座に「振り込ませる」ケースが多くなっています。そういう口座は、どんな名義になってるんでしょう?

中原

ほとんどが「法人名義」になっています。これは警察庁がまとめた数字ですが、「値上がり確実」とうたった未公開株や社債の取引、投資勧誘などを装ったトラブルのうち、法人、会社名義の口座を振込先として使っていました。やはり個人名義より安心感があるということなんでしょう。
しかも、その会社の所在地は、東京の丸の内、銀座、青山…といった一等地にあることが多い。これは「バーチャルオフィス」といわれるサービスを悪用していることが考えられます。

邦丸

バーチャルオフィス、というのは…?

中原

バーチャルですから、実際のスペースを貸すわけではなく、法人の所在地としての「住所」を貸し出すサービス。フリーランスの人、事業を興したばかりの人に向け、電話応対の代行、郵便物転送などを行うわけです。丸の内や銀座なら、顧客の安心度が高まる効果もありますね。ただいわゆる「レンタルオフィス」とは違って、部屋や机などを提供することはありません。

邦丸

住所そのものを、借りるんですね。

中原

このビジネス自体が、違法なわけではありません。ただ悪徳業者が「一等地にある会社」に見せかけるのに利用されやすい側面があることが問題になっています。先ほど警察庁の調査結果をご紹介しましたが、詐欺に利用された疑いがあったため、金融機関に凍結を依頼した口座のうち、所在地がこうしたバーチャルオフィスだった会社が、少なくとも十一社あったそうです。

邦丸

そういう会社の実態を追及するのは大変でしょうね。

中原

ダマされたことに気付いて被害を取り返そうとしても、実際に敵がどこにいるのかわからないわけですからね。今年上半期に、こうした問題で全国の消費生活センターに2195件の相談が寄せられましたが、警察が摘発できたのはこのうち僅か15件…。

邦丸

詐欺を摘発するのって本当に難しいんですね!

中原

詐欺犯罪防止のため警察では、各金融機関に対して、法人名義口座開設時の審査の強化を要請しています。どうもこの会社、怪しい…と思ったら、実際に事務所を訪問したり、口座開設に来た本人の身元確認資料のコピーを保存しておくことなども依頼。被害が起きた後ではどうしようもないことが多いので、とにかく水際で事前に詐欺を食い止めようと、懸命の努力を続けています。

邦丸

それでも次から次へと新しい手口が出てくる。被害がなくなることはないんでしょうね…

中原

繰り返し同じことを申し上げることになりますが、詐欺に対しては、やはり「自己防衛」に尽きます。うまい話には、必ずウラがあると思ってください。今日のお話にしても、振込先はちゃんと株式会社で、銀座にオフィスを構えているかも知れませんが、実態はカラッポ、ということがあり得るわけです。
ちょっと見にはきちんとした会社でも、実際にはどんなオフィスを構えているのか確かめましょう。またインターネットで評判を調べるのも有効です。うまい儲け話に目がくらみそうになっても、いったん冷静になり、じっくり検討することをお勧めします。

邦丸

家族に話を聴いてもらう、怪しかったら消費生活センターに相談する。場合によっては警察や弁護士に話をもっていくのも、被害を拡大させないためには大切かもしれませんね。