文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/479回テーマ 「借金問題の今と昔」編

2018年06月05日

代表の中原です。

近頃、銀行のカードローンの過剰貸付や、自己破産が増加傾向にあるなどの報道をよく見るようになりました。そこで本日の『くにまるジャパン 極』では、「借金問題の今と昔」というテーマでお話ししてきました。

実は借金問題は、ここ10年で大きく変わってきています。昔は、娯楽費や交際費などに使う目的で、消費者金融から借りすぎて返済できなくなり、その返済のためにまた借りるという「多重債務」の相談が多くみられました。
それが最近では、遊ぶためというよりは、生活費を補うため利用した銀行のカードローンの返済が苦しくなってきた、という相談が多くなっています。

このように変わってきた背景には、8年前の貸金業法の改正の影響も大きいでしょう。消費者金融などの貸金業者に対しては、年収の3分の1以上の金額を貸してはいけないという「総量規制」が導入され、多重債務者は劇的に減りました。例えば、年収450万の人は、150万までしか借りられなくなりました。
しかし、銀行のカードローンは、総量規制の対象外になっていて、年収の3分の1以上のお金を貸しても法律違反にはなりません。その結果、10年前は消費者金融や信販会社の貸付総額が、銀行カードローンの総額を11兆円も上回っていたのに、3年前にはとうとう逆転して銀行のカードローンの総額の方が多くなり、現在も差はどんどん広がっています。

また、銀行のカードローンは利息制限法内の金利であるため、消費者金融のように過去に払い過ぎていた利息で借金の減額が出来たり、借金が無くなって過払い金が返ってきたということもありません。
全国銀行協会も実態調査に乗り出したり、過剰なCMにならないように配慮するよう、指針を出したりしています。中には、自主的に総量規制を導入したり、CMを自粛する銀行も増えていますが、あくまでも自主規制で法的拘束力はありません。

改めて過払い金の説明をすると、過払い金の対象になる方は、先ほどお話しした貸金業法が改正された平成22年より前に、消費者金融などの貸金業者から借金をしていた人です。クレジットカードのショッピング利用や車のローン、銀行からの借り入れなどは、対象外です。
平成22年以前は、いわゆるグレーゾーン金利の時代、法律によって適用される金利の上限が違いました。しかし、最高裁が「グレーゾーンの利息はほとんどの場合取り過ぎだ」という判決を出したため、利用者に対して利息の一部を返す必要が出てきたわけです。

返ってくる金額は人それぞれですが、長く取引されていた方、つまり年齢が上の方ほど過払い金が多い傾向があります。たとえば私が担当した50代女性は、残金が70万程になった時、夫が仕事を休まざるを得なくなり、返済に困ってしまってご相談いただきました。消費者金融との取引期間は25年程で、計算してみると、払いすぎた利息の分でまずは借金がゼロになり、なおかつ535万円のお金を取り戻すことができました。

もっと早くご相談いただけばよかったのですが、借金問題は、なかなか他人に相談しづらいところがあるものです。誰にも相談できず、一人で悩んでいる方が本当にたくさんいらっしゃると思います。弁護士には守秘義務があり、相談者の秘密を漏らすことは禁止されていますので、その点は安心してご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇479回テーマ
 「借金問題の今と昔」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士