文化放送『くにまるジャパン 極』に笹森麻美弁護士が出演/607回テーマ 「コロナと自然災害債務整理ガイドライン」編

2020年12月01日



弁護士の笹森です。

今回は、新型コロナウィルスが原因による収入減で、住宅ローンなどの返済が厳しくなった方に対し、12月1日から適用されることになった「自然災害被災者債務整理ガイドライン」についてお話してきました。通常、住宅ローンなどの返済が難しくなった場合には、債務の一部を減免してもらう手続として、「個人民事再生」や「自己破産」などの手続きがあります。今回、お話してきた、自然災害被災者債務整理ガイドラインとは、元々は、「災害の影響によって、災害前の債務の返済が困難となった被災者が、一定の用件のもとに、債務の全部または一部の減免を受けることができる」という制度で、「被災者ローン減免制度」略して「ひさろ」とも言われています。地震や豪雨などで、災害前から借りていたローンの支払いなどができなくなった場合に適用される制度で、4年前の熊本地震やおととしの西日本豪雨などの被災地で活用されてきました。

今回、コロナウイルスは自然災害ではありませんが、この制度の「特別な規則」、特則ということで、12月1日から、新型コロナウイルス感染症にも適用されることになり、コロナウイルス関連で減収してしまった方で、住宅ローン、事業ローンなどを返せずご苦労されている場合、この制度を利用して、債務者との協議により、借金を減らしたり、免除されたり…ということが可能になります。

この制度には、通常の債務整理とは違い、メリットもいろいろあり、まず手続きを利用しても信用情報登録機関、いわゆるブラックリストに載りませんし、原則として、保証人に請求が行くこともありません。また、債権者との交渉は登録支援専門家の弁護士が行いますが、債務者は、弁護士に対し、手数料や報酬を支払う必要がありません。そして、通常、自己破産では手元に99万円しか残せないことになっていますが、この制度では、99万円を超える現金を手元に残して生活再建を図れるケースもあります。

まず、この制度を利用したい場合、債権者のうち、一番借金の額が多い債権者に対して手続きの利用を申し出て、同意書を受け取る必要があり、その後、お住まいの都道府県の弁護士会に申し込めば、登録支援専門家の弁護士から連絡がきます。債権者は、債務整理の申出書を受け取った場合、虚偽の記載がなければ同意しなければならないことになっていますから、嘘を書かなければ同意を得られると思います。詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。
一つだけ注意が必要なのは、弁護士に債務整理を相談した場合、その弁護士が登録支援専門家になることはできない事です。弁護士会を通じて登録支援専門家に依頼することが必要になります。
また、この制度の対象にならない債権者がいる場合などは、このガイドラインの特則は利用できません。その場合は自己破産手続や民事再生手続を利用することになりますので、支払いにお困りの方は、ホームワンにお気軽にお問い合わせいただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇607回テーマ
「コロナと自然災害債務整理ガイドライン」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 笹森麻美弁護士