自己破産ができる条件、できないケース

自己破産ができる条件、できないケース
弁護士谷崎 広輝
<監修者> 弁護士 谷崎 広輝
それぞれのお客様の抱える問題に一緒に向き合うことの責任の重さを強く感じています。お客様の相談を受ける際には、一つとして同じ問題はないということを常に心掛けています。

「借金の支払いが厳しくて自己破産を考えているが、自分が自己破産できるか分からない」

「どういうときに自己破産できるのか知りたい」

借金問題の相談では、そもそも自分が自己破産できるのかどうかを教えて欲しいという方も多くおられます。ここでは、自己破産できる条件とはどういうものか、自己破産ができないケースはどのような場合かを説明いたします。

自己破産ができる条件とは?

法律上、自己破産をするときは、裁判所で破産手続と免責手続の2つの手続を同時に行なうことになります。そのため、自己破産の手続を「破産免責」と呼ぶことがあります。

破産手続は、借金(債務)の返済ができなくなったときに、手元の財産を債権者に平等に配るための手続で、いわば財産の清算の手続です。

一方、免責手続は、破産手続をして債権者に配当しても借金が残ってしまったときに、その残った借金について返済の義務を免除してもらう手続です。免責というのは、債務返済の「責任を免れる」という意味です。自己破産をする最大の目的は、この免責を得ることにあります。

「私は自己破産できますか?」という質問の回答は、これらの2つの手続が裁判所で認められるかどうか次第ということになります。すなわち、自己破産ができる条件は、破産手続と免責手続という2つの手続が裁判所で認められる場合ということです。

自己破産ができないケースとは?

自己破産ができないケースのうち1つ目は、破産手続が認められない場合です。破産手続は「債務者が支払不能にあるとき」に認められます。 支払不能というのは、文字どおり支払いができないという意味ですが、具体的には、その人の収入状況や財産状況に照らして、十分に借金の返済ができないときに認められます。

借金を返済する余裕があるのに、単に返したくないから破産したいというような理由では破産手続は認められません。

自己破産ができないケースのうち2つ目は、免責が許可されない場合です。免責については、借金の理由などから免責を認められない事情(免責不許可事由)や、そもそも免責が認められない性質の債務(非免責債権)が法律で定められています。

借金の金額で自己破産できるか決まる?支払不能の判断について

例えば、借金が100万円のときに、裁判所が支払不能と認めて自己破産ができるかどうかを考えてみましょう。

もし、その人が病気などで仕事ができず収入がなく、貯金や資産もなければ、支払不能と判断される可能性が高いと言えます。

一方で、年収が800万円あるとか、貯金が200万円あるといった状況であれば、100万円くらいの借金なら普通は返済できると考えられますから、支払不能とは判断されない可能性が高いでしょう。

このように、自己破産ができるかどうかは、単に借金の金額だけを見るのではなく、それぞれの人の状況に応じた個別の判断がされる ことになります。

借金額が小さいと破産できないのではないかと考える方もおられるかもしれませんが、そういうわけではありません。一般論としては、借金額が大きいと支払不能と認められやすく、借金額が小さいと支払不能と認められにくくなりますが、最終的にはそれぞれの生活状況に応じた判断がされることになります。

ギャンブルをしていたら自己破産できない?免責不許可事由について

免責の判断には、なぜ借金をしたのかという借入理由や、支払いができなくなるほどの借金をしてしまったことを反省しているか、今後の生活再建に向けて真摯な努力を続けているかというような生活態度をチェックされます。

例えば、勤務先の業績悪化で給料が減り生活費が不足して借入をしたとか、大きな病気をしてしまい満足に仕事ができないうえに医療費も必要になり借入をしてしまったというような事情であれば、悪質な理由で借金を増やしたのではないと考えられて、免責は認められやすいと言えます。

一方で、パチンコや競馬などのギャンブルに使うために借金をしたとか、FX取引や仮装通貨取引などの投機行為をする元手にあてるために借金をしたとかの理由だと、必要もないのに借金をしたと見られて、免責をそのまま認めるわけにはいかなくなります。

このような免責の判断を難しくする事情を「免責不許可事由」といい、主に以下のようなものが挙げられます。

<主な免責不許可事由>

  • 浪費による借入(飲食・酒代・風俗・キャバクラ・買物・旅行等)
  • ギャンブルによる借入(パチンコ・競馬・競輪・競艇等)
  • 投資・投機による借入(株取引・先物取引・FX取引・仮想通貨取引等)
  • 換金行為(クレジットカードで商品を購入してすぐに売却して現金化するような行為)
  • ヤミ金からの借入をした場合
  • 破産にあたり財産を隠したり、不当に安い金額で譲渡したりした場合
  • 特定の債権者にだけ優先的に返済をした場合
  • 他人名義で借入をしたり、虚偽の事実を申告して借入をしたりした場合
  • 過去七年以内に破産や給与所得者再生をしたことがある場合

免責不許可事由があっても免責は認められる

免責不許可事由があると、免責は絶対に認められないのでしょうか?実は、免責不許可事由があっても、ほとんどのケースで免責が認められています

免責不許可事由があるということの法律的な位置づけは、そのままでは免責を許可できないというものです。しっかりと過去の行為を反省して、今後の経済的更生に向けて真摯に努力をしているのであれば、裁判官がそういった事情を考慮したうえで免責を許可するのが一般的です(裁量免責)。

例えば、パチンコのために借金をしたという人でも

  • ① 過去にどれだけパチンコに支出して借金をしたのかを正直に申告し、
  • ② 現在は過去の行為を反省してパチンコをはじめとしたギャンブルは一切やっておらず、
  • ③ 今後も借金をせずに自分の収入の範囲内で生活を送れるよう家計管理に努めている

ということを、しっかりと裁判官や破産管財人に示すことができれば、免責が認められるのが通常です。

ポイントは、正直に誠実な態度で手続に臨むことです。実際に免責が認められなかった事例は、裁判官や破産管財人からの質問に嘘の回答をしたり、意図的に財産を隠したり、裁判所に出頭しなければならない日に無断で欠席したりといった、不誠実な態度をとった場合がほとんどです。

すべての債務が免責されるわけではありません(非免責債権)

自己破産をしても支払いの責任が免除されない債務もあります(非免責債権)。

当てはまることが多いものとして、滞納している住民税・国民健康保険料などの税金関係や、滞納している養育費などがあります。

ほかに気をつけなければならないのは、借金があることを把握していながら、あえて申告しないで隠して手続をした場合、その債務は免責されないことになりますし、もし虚偽申告だとみなされたら、すべての債務が免責されない免責不許可事由にも該当することになってしまいます。自己破産をするのであれば、正直にすべての債務を申告する必要があります。

非免責債権には以下のようなものがあります。一般的な借金というよりは、特別な理由で支払いをしなければならないものが該当します。

<非免責債権の一覧>

  • 租税等の請求権(住民税や国民健康保険料など)
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(詐欺・横領等の他人を害する意図による行為の損害賠償など)
  • 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(無謀運転による交通事故被害者への損害賠償など)
  • 夫婦間の協力及び扶助の義務、婚姻から生ずる費用の分担の義務、子の監護に関する義務(特に養育費など)、扶養の義務等
  • 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
  • 知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  • 罰金等の請求権

自己破産による資格制限にも注意が必要

法律上の要件を満たしていて自己破産ができるとしても、そもそも自己破産をしても大丈夫かどうかという点にも注意が必要です。

自己破産をすると、破産手続中、一部の職業や資格に制限を受けることになります。資格制限に該当してしまうと仕事を失うような場合には、そもそも自己破産を選ぶことが難しくなります。

<破産手続中に制限される資格一覧>

弁護士、司法修習生、検察審査員、弁理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、中小企業診断士、通関士、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者、公証人、簡易郵便局長、商工会の役員、証券取引外務員、商品投資販売業、証券業、投資顧問業、貸金業、割賦販売あっせん業者、質屋、生命保険募集人及び損害保険代理店、一般労働者派遣事業者、旅行業者、警備員、警備業者、建設業、建築士事務所開設者、風俗営業を営もうとする者、風俗営業の営業所管理者、一般廃棄物処理業者、卸売業者、調教師、騎手、代理人、後見人、後見監督人、保佐人、補助人、遺言執行者 等

自己破産ができない場合、どうすればよい?

借金の返済が厳しいものの自己破産ができない場合には、どうすればよいのでしょうか?

まず、収入や資産に照らして借金額が小さいために支払不能とまでは認められない場合には、任意整理を検討することになります。

任意整理とは、弁護士が貸金業者と交渉して、将来支払う予定の利息をカットしてもらったり、支払終了までの返済回数を長くしてもらったりして、毎月の支払金額や完済までの返済総額を抑える手続です。

また、免責や資格制限の関係で自己破産を選びにくい場合には、任意整理のほかに個人再生手続を検討することがあります。

個人再生手続は、自己破産と同じく裁判所で行なう手続で、原則として債務額を5分の1に圧縮して3年間の分割で返済するというものです。

代表弁護士中原

借金の原因がパチンコなどのギャンブルだと、自己破産をしても免責が認められないと思われている方が多いようです。しかし、私が過去に取り扱った事件で、ギャンブルが原因で免責が認められなかった事例はありません。

ギャンブルで借金をしたことを反省し、今はもうギャンブルをやめていて、今後もギャンブルを一切しないなど、経済的更生のために真摯な努力をしていれば、裁判官もそのことを認めて免責を許可してくれます。

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