自己破産すると住宅ローンはどうなる?

自己破産すると住宅ローンはどうなる?

自己破産すると、住宅ローン返済中の家がどうなるか気になる方もいらっしゃると思います。このページでは、住宅はどうなるか、家族が連帯保証人になっているケースではどうなるか、自己破産がどんな手続きかについて詳しく説明します。

家はどうなる?

自己破産すると、住宅ローンも手続きの対象となり、家は手放さなくてはいけません。

住宅ローンを延滞するとどうなる?

住宅ローンを組んだ場合、購入した住宅には担保が設定されています(抵当権)。そのため、住宅ローンを返済できなくなると、担保である住宅を手放さなくてはなりません。

住宅購入からローン延滞後の流れ

1)住宅購入

住宅ローンを組んで(金銭消費貸借契約)住宅を購入すると、住宅に抵当権が設定されます(抵当権設定契約)。保証会社が付く場合は、保証委託契約も同時に結びます。

2)月々の返済

返済予定表(償還計画表)に基づいて、住宅ローンを返済します。

3)住宅ローンの延滞

収入減などによって、住宅ローンが支払えず、延滞が発生します。

4)一括請求(期限の利益の喪失)

一定期間延滞が続くと、住宅ローンの残高について一括請求を受けます。
※延滞によって、契約に基づく分割返済(期限の利益)ができなくなるため、一括請求となります(期限の利益の喪失)。

5)代位弁済

その後も延滞が続くと、金融機関の要請を受けて保証会社が、保証委託契約に基づいて、本人に代わって金融機関に住宅ローンを支払います。これを代位弁済といいます。この時点で、住宅ローンの債権者が金融機関から保証会社へと代わります。

6)保証会社から一括請求を受ける

代位弁済後、保証会社から一括請求を受けます。

7)不動産の売却(任意売却、競売)

返済できないと、不動産を売却して住宅ローンの返済に充てる必要があります。

アンダーローンの場合

ローン残高が不動産売却額を下回る場合、売却してローンを完済します。

オーバーローンの場合

ローン残高が不動産売却額を上回る場合、売却してローン返済にあてます。オーバーローンの場合、残りの住宅ローンが支払えず、自己破産するケースがあります。

任意売却とは?

任意売却とは、通常の不動産売却と同様に不動産会社と媒介契約を結んで、市場に売り出します。ただし、売り出し価格や実際の売却価格について、借入先の金融機関の了承が必要になります。

競売(抵当権実行)とは?

競売とは、抵当権を設定した債権者が、裁判所に申立てて、強制的に売却する方法です。

周囲にはどんな影響がある?

自己破産をすることにより、本人の住宅ローンは免責されます。ただし、契約内容によっては周囲に影響を与える場合もあるので、注意しましょう。

連帯保証人

連帯保証人は本人が支払えない場合に、代わりに支払う義務をおっています。したがって、連帯保証人は住宅ローン残高を請求されます。

連帯債務者

夫婦(親子)連名で住宅ローンを組んでいる場合に、夫婦(親子)はそれぞれ住宅ローン全体を支払う義務を負っています(連帯債務者)。例えば、連帯債務者である夫が破産したとしても、もう一人の連帯債務者である妻に支払い義務が残ります。

ペアローン

ペアローンでは、夫婦それぞれ住宅ローンを組み、お互いが連帯保証人となっています。そのため、例えば、夫が破産した場合、妻は自分名義の住宅ローンに加え、夫分(連帯保証人分)の支払い義務も負います。

物上保証人

住宅ローンを組む場合に、購入する土地・建物の担保価値が住宅ローン借入額を下回る場合に、親など他者が所有する土地・建物に担保が設定されていること(物上保証)があります。このとき、担保を差し出している人を物上保証人といいます。住宅ローンを組んだ本人が返済できなくなると、物上保証人も担保とした土地・建物を売却しなくてはいけないこともあります。

自己破産すると、固定資産税はどうなる?

固定資産税は、非免責債権にあたり、自己破産しても支払い義務は免除されません。そのため、未納分については自己破産後も支払う必要があります。

自己破産とはどんな手続き?

自己破産では、破産手続と免責手続の2つの手続きを行ないます。破産手続は、借金(債務)の返済ができなくなったときに、手元の財産を債権者に平等に配当するための手続きです。免責手続は、破産手続をして債権者に配当しても借金が残ってしまったときに、その残った借金について返済の義務を免除してもらう手続です。免責というのは、債務返済の「責任を免れる」という意味です。自己破産をすると、借金が「ゼロ」になると言われるのは、免責されることを意味します。

自己破産ができないケース

自己破産ができないケースのうち1つ目は、破産手続が認められない場合です。破産手続は「債務者が支払不能にあるとき」に認められます。「支払不能」というのは、文字どおり支払いができないという意味ですが、具体的には、債務者の収入状況や財産状況に照らして、十分に借金の返済ができないときに認められます。任意売却などにより住宅を売って、債務を減らすなどして、借金が返済可能となれば、自己破産することはできません。

自己破産ができないケースのうち2つ目は、免責が許可されない場合です。免責については、借金の理由などから免責を認められない事情(免責不許可事由)や、そもそも免責が認められない性質の債務(非免責債権)が法律で定められています。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットには、次のようなものがあります。

ローンやクレジットは約5~10年利用できない

信用情報に、約5~10年、自己破産手続を取ったという記録が残ります。その間は、基本的に、新たに住宅ローンや自動車ローンを組んだり、クレジットカードを契約したりできなくなります。

職業・資格に制限がかかります

破産手続をし、破産開始決定により、人の財産にかかわる資格について手続き中は資格を使用した仕事ができなくなります。

財産を処分する必要がある

一定の価値がある財産があれば処分する必要があります。

官報で公告されます

官報に名前・住所などが掲載されます。

家を残したいなら個人再生や任意整理

自己破産をすると、持ち家など一定の価値がある所有財産は処分の対象になってしまいます。一方、個人再生は、生命保険や車など資産を持ったまま債務を大幅に圧縮する手続きです。個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特例といいます)を利用できれば、住宅ローンの返済を継続することで、自宅を処分する必要がなくなります。

また、個人再生以外にも、任意整理という方法があります。住宅ローンは不動産に抵当権が設定されているのが一般的で、任意整理の対象にはなりません。住宅ローンの支払いを遅滞なく行なえていれば、それ以外の借金について、任意整理をしていたとしても、特に問題にはなりません。

代表弁護士 中原俊明 (東京弁護士会所属)
  • 1954年 東京都出身
  • 1978年 中央大学法学部卒業
  • 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
  • 2008年 法律事務所ホームワン開所

債務整理、特に破産事件を数多く取り扱ってきた。これまでに破産申立を行なった件数は6000件以上。依頼人の利益を考えることを第一に、法律サービスをもっと身近なものにしていくことを目指す。東京弁護士会春秋会の一員として編集に携わった書籍に『実践 訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる-』などがある。

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