クレジットカードでリボ払いを利用していたら、いつの間にか支払残高が50万円

弁護士谷崎 広輝
<監修者> 弁護士 谷崎 広輝
それぞれのお客様の抱える問題に一緒に向き合うことの責任の重さを強く感じています。お客様の相談を受ける際には、一つとして同じ問題はないということを常に心掛けています。

最近のクレジットカードの債務整理相談では、「リボ払いで利用していたら、いつの間にか支払残高が増えていた」というケースがほとんどです。「リボ払いは毎月の支払額を低くできるので、支払残高を気にせずに利用を続けてしまった」というものです。

リボ払いで毎月元金1万円を支払うことにしていながら、毎月新規で数万円の利用を続けると、当然ながら差額分が支払残高として積み重なっていきます。リボ払いで利用していると、毎月一定金額の支払いをすればよいため、次第に利用明細を確認することもなくなり、気がついたら支払残高が大きく増えていたということになりかねません。

リボ払いは毎月の支払額を一定にすることができますが、支払残高が増えると、その分毎月支払う手数料も増えてしまいます。例えば、支払残高が50万円で、毎月の支払いを1万円と設定している場合、実際の支払いは手数料が上乗せされて、1万6164円となります(元金定額方式、実質年率15%の場合)。新しく利用せずに支払いのみを続けた場合でも、支払残高全額を支払い終えるまでに、手数料を含めて総額で約66万円支払うことになります。

支払いを早く終わらせるために毎月の支払額を増やすという方法もありますが、複数のカードを利用していたりすると、1枚のカードで毎月の支払額を増やした分だけ、他のカードを使ってしまうということにもなりかねません。返済した分だけ借入をしてしまう、いわゆる自転車操業と言われる状況に陥ってしまいます。そうなると、根本的な解決を図るために、弁護士に依頼して債務整理をすることが必要になってきます。

残高50万円の場合、リボ払い手数料はいくらかかるか?

クレジットカードでリボ払いを利用する場合、利用した元金の支払いに加えて、リボ払い手数料がかかります。この手数料は、支払残高に対して実質年率15〜18%であるのが一般的です。計算方法は、次のとおりです。

手数料 = 支払残高 × 実質年率 × 利用日数 ÷ 365日

例えば、支払残高が50万円で、実質年率が15%の場合、ひと月の手数料は次のように計算されます。

50万円 × 15% × 30日 ÷ 365日 = 6164円

元金定額方式の場合であれば、月の支払いは、元金に加えて手数料がかかり、以下のようになります(元金1万円の場合)。

元金 1万円 + 手数料 6164円 = 月の支払額 1万6164円

月々の支払額で比較すると、手数料はどれくらい変わる?

月々の元金に充てる支払額が変わると、手数料の総額も変わってきます。支払額が少ないとその分、返済期間も長くなり、元金も減らないので、手数料を多く支払うことになります。

例えば、支払残高が50万円で毎月の支払額が1万円、2万円、3万円の場合、それぞれどのようになるでしょうか。

毎月の支払額(元金に充てる支払額) 完済までの手数料を含めた支払総額 完済までの手数料総額
1万円 65万9232円 15万9232円
2万円 58万1099円 8万1099円
3万円 55万5073円 5万5073円

毎月元金の支払いが定額の元金定額方式の場合

手数料が実質年率15%の場合

新たな利用をせずに返済に専念した場合

月3万円と比べて月1万円を支払う場合、2倍以上の手数料の総額を支払わなくてはいけません。月々の支払額が少なければ少ないほど、手数料の総額は大きくなります。

月々の支払額で比較すると、支払い期間はどう変わる?

新しく利用しないで返済だけを続けるとすれば、月々の支払額に応じて完済時期も変わっていきます。月々の支払額が多いと、支払残高が減る速度も速くなり、完済時期も早くなります。反対に月々の支払額が少ないと、その分、支払残高が減らず、完済時期が遅くなります。

例えば、支払残高が50万円で、毎月の支払額(元金にあてる金額)が1万円、2万円、3万円の場合、次のようになります。

毎月の支払額(元金にあてる金額) 完済までの支払い回数(期間)
1万円 50回(4年2か月)
2万円 25回(2年1か月)
3万円 17回(1年5か月)

毎月元金の支払いが定額の元金定額方式の場合

新たな利用をせずに返済に専念した場合

月3万円の場合と比べて、月1万円を支払う場合、支払い終えるまでの期間は2年7か月長くなります。また、同じく月3万円の場合と比べて、月2万円を支払う場合、支払い終えるまでの期間は6か月長くなります。月の支払額を増やせば、その分、早く支払いを終えることができるので、完済までの手数料の支払額も減ります。

リボ払いの仕組み

ここまではリボ払いのうち「元金定額方式」という元金にあてる支払額が一定の支払方法で説明してきました。元金定額方式では、定額の元金支払額とは別に手数料を加算して支払います。手数料は支払残高に応じて変わるため、毎月の支払額も変動します。

一方、同じリボ払いでも、カード会社やカードの種類によっては、元金定額方式ではなく「元利定額方式」と呼ばれる支払方法を採用している場合もあります。

元利定額方式では、元金支払額と手数料を合わせた毎月の支払額が定額になるので、支払残高が増えても毎月の支払額は変わりません。ただし、支払残高が増えると、その分だけ手数料の金額が増えるため、元金の返済にあてられる支払額は減り、なかなか元金の支払いが終わらなくなります。
そのため、支払残高が同じでも、元利定額方式の方が元金定額方式よりも支払い期間が長期化してしまいます。

元金定額方式と元利定額方式の違い(支払残高50万円でリボ払い定額1万円の場合)

元金定額方式 元利定額方式
月の支払額 定額の元金+手数料
例)月の支払額 1万6164円 = (元金) 1万円 + (手数料) 6164円
手数料を含めた定額の月額
例)月の支払額 1万円 = (元金) 3836円 + (手数料) 6164円
翌月の支払残高 49万円 49万6164円
完済までの期間 50回(4年2か月) 80回(6年8か月)
特徴 元金を確実に減らせるが、月の返済負担が大きい 月の返済負担は小さいが、元金が減りにくい

手数料が実質年率15%の場合

新たな利用をせずに返済に専念した場合

また、支払残高に応じて月々の支払額が変動する残高スライド方式を採用しているカードもあります。残高スライド方式の場合、支払残高に応じて、例えば次のように毎月の支払額が変動します(実際のカード会社により金額は異なります)。

支払残高 毎月の支払額
30万円以下 1万円
30万円超〜50万円以下 2万円
50万円超〜100万円以下 3万円

ある月の支払残高が20万円であれば、その月の支払額は1万円です。そこで新たに12万円の買い物をして、次の月の支払残高が31万円になれば、次の月の支払額は2万円になります。このように、残高スライド方式では、支払残高が増えれば、それに応じて段階的に毎月の支払額も増えていきます。

「終わらないリボ払い」を解決する方法

クレジットカードをリボ払いで利用していると、月々の支払額が少ないためなかなか元金が減らず、支払いが長期化する傾向があります。また、月々の支払いが一定のため、支払残高が増えたことに気がつきにくいという特徴もあります。支払残高が増えると、それに応じて手数料も増えていき、最終的には手数料を含んだ支払いの総額が非常に高額になってしまいます。

支払残高が増えてしまったリボ払いを終わらせるためには、次のような方法が考えられます。

一括返済

支払残高を一括で全額返済する方法です。支払残高がなくなるので、それ以降はリボ払い手数料を支払わなくてよくなります。この場合、リボ払いの設定を解除しておくとさらによいでしょう。ボーナスを利用して一括返済するケースも多いようです。

繰り上げ返済

あらかじめ決められた毎月の支払額よりも多い金額を支払う方法です。例えば、毎月の支払額を1万円から5万円に引き上げて支払います。繰り上げ返済をすることで、定額での支払いを続けるよりも早く支払残高を減らすことができ、その分、手数料の支払金額が減り、完済までの支払回数も減ります。

債務整理(任意整理)

自分で返済を進めることが難しいようであれば、債務整理をすることも選択肢になります。債務整理には自己破産・個人再生・任意整理などの方法がありますが、例えば、弁護士に任意整理を依頼すれば、将来発生するリボ払い手数料のカットや支払残高の分割回数についてクレジットカード会社と交渉して、今後の返済計画を決めていくことになります。

自分だけではいつまでも完済の見込みが立てられず、「終わらないリボ払い」で悩んでいる方は、まずは債務整理を行なうべきかどうかを弁護士にご相談することをおすすめします。借金問題の解決実績が豊富なホームワンでは、債務整理のご相談は無料で受け付けています。

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