生活費をリボ払い。高収入でもリスクあり

弁護士谷崎 広輝
<監修者> 弁護士 谷崎 広輝
それぞれのお客様の抱える問題に一緒に向き合うことの責任の重さを強く感じています。お客様の相談を受ける際には、一つとして同じ問題はないということを常に心掛けています。

毎月の支払額を定額にできて便利なリボ払い。クレジットカードを持っていれば、支払方法を変更するだけで簡単に利用できますが、使い方次第によってはいつの間にか支払残高が大きく増えていて、なかなか支払いが終わらないという相談も多くあります。

実際にホームワンで取り扱った事例では、食料品や日用品などの生活費のほとんどをクレジットカードで支払い、その返済方法をリボ払いにしていたために、気がついたら支払残高が大きくなり、完済できる見込みがなくなってしまったというケースがあります。

高い収入があり本来であれば借金をせずとも十分に生活ができるような方でも、毎日の生活費支出をクレジットカードのリボ払いにしていると、気がつかないうちに毎月の支払額よりも多い金額を使い続け、支払残高が増えてしまい、それにともない手数料もかさんでしまい、最終的に借金問題を抱えてしまうということもよくあります。
あとになってから「リボ払いを利用していなければ、その分、貯金ができたのに・・・」と後悔しないためにも、リボ払いの仕組みやリスクについて理解して利用するようにしましょう。

ガソリン代などの生活費をリボ払いで支払う

ホームワンで取り扱った事例で、最初はETC料金やガソリン代、車検代などの自動車関連の支出にクレジットカードを使い始めて、次第に携帯料金、水道光熱費、スーパーやコンビニでの買い物、ネットショッピングなど生活費のほとんどをクレジットカードのリボ払いで支払うようになったという方がおられます。リボ払いは毎月の支払いが定額なので、お金の管理がしやすいと思って生活費をクレジットカードで支払うようにしたようです。

気をつけなければならないのは、リボ払いには手数料がかかるということです。リボ払いは、一般的に、支払残高に対して実質年率15〜18%の手数料がかかります。支払残高が多くなれば多くなるだけ手数料も高くなるため、毎月の支払額のうち元金にあてられる金額の割合が小さくなり、実際に支払いをした金額に比べてカードの支払残高がなかなか減らないという現象が発生します。

給料が高ければ、リボ払いも安心して利用できる?

安定して高い給料をもらっていて、ボーナスも多くもらえる方で、高い手数料を気にせずにリボ払いを使い続けてきたという方もおられます。毎月のカード利用で支払残高が増えても、ボーナスが入るたびにまとめて支払って減らすことができるので、それで問題がないと考えてリボ払いを続けてきたという方もおられます。

しかし、毎月の支払の管理が便利だからといってリボ払いでの生活費支出を続けていると、自分でも気がつかないうちに多額の手数料を支払っていることになります。本来であれば、貯蓄や別の支出に回わせるお金が手数料の支払いに使われているのです。

例えば、クレジットカードを使い始めてから20年近くリボ払いを続けていて、カード会社への支払金額が累計で1000万円を大きく超えるようなケースもありました。このようなケースでは、カード会社に数百万円単位の手数料を支払っていることになります。

また、生活費だけであれば収入の範囲内の利用におさめられていたけれども、生活費に加えて旅行や趣味の支出にリボ払いを利用し始めると、支出が収入を上回るようになり、支払残高が増えてしまい、のちのち返済が厳しくなるということもあります。
自分は大丈夫だと思って収入を上回る支出を続けていたら、会社の業績が悪くなり急に収入が減ってしまい、毎月のリボ払いの支払いが難しくなったという相談も多くあります。

支払いをコントロールできていると勘違いしてしまう

リボ払いの落とし穴の1つに、毎月の支払いが一定なので、その金額だけ用意しておけば問題なく支払いをコントロールできていると勘違いしてしまうというものがあります。

例えば、毎月決まった元金に手数料をプラスして支払う「元金定額方式」の場合で考えてみましょう。支払残高が100万円で、毎月の元金支払いが2万円の場合、支払い回数は100÷2=50回で、支払い終えるまで4年8か月かかることになります。

毎月、元金の2万円に加えて手数料も支払う必要があるので、毎月の支払額は一定になりません。月々の手数料の計算は次のようになります。

(支払残高)100万円 × (実質年率)15% ÷ 365(日) × 30(日) = (手数料)1万2329円

カード会社によって、利率や日数が異なる場合があります。

元金定額方式の場合

元金2万円に手数料1万2329円が加算され、月の支払総額は3万2329円になります。
毎月、リボ払いでいくら引き落とされているか、その額を確認せずに利用を続けてしまうと、自分が思っていた以上に大きな金額が引き落とされていたということになりかねません。

また、元金と手数料をあわせて毎月決まった金額を支払う「元利定額方式」の場合、毎月の支払額は一定ですが、支払残高が増えると支払額のうち手数料の占める割合が大きくなります。
そのため、支払残高が増えれば増えるほど、毎月の支払いから元金に充てられる支払額が減って、支払残高がなかなか減らず、支払いが長期化していきます。

リボ払いの仕組みを正しく理解していないと、支払いをコントロールできていると思っていたら、実際にはいつまでも支払いが終わらないとか、気がつくと多額の手数料を支払っていたということになりかねません。

まずは自分の収支の確認から

借金問題のご相談を受けると、ご自身の家計状況を把握されていない方が多く、毎月いくらの収入があり、いくらの生活費支出があるのかが分からないまま、クレジットカードをリボ払いで使い続けてきたというケースもよくあります。

最近は給与明細がウェブ明細になっている会社も増えたため、毎月ちゃんと給与明細を確認することもなく、クレジットカードで生活費を支払っているために銀行口座の残高もたまにしか確認していないなど、自分の毎月の給与額を正確に把握していない方もいます。
まずは自分が毎月どれくらいの支出をすることができるのか、自分の収入がどれくらいなのかを正確に把握するところから始めましょう。

また、毎月の生活費の支出がどれくらい必要なのかを把握することも大切です。クレジットカードの利用明細を見直して、毎月いくら使っているのか調べて、それが本当に必要な支出なのかをよく考えてみましょう。収入を超える金額の利用を続けてしまうと、支払残高が増えて、返済ができなくなってしまいます。

クレジットカードのリボ払いは便利ですが、気がついたら返済ができなくなってしまったというようなことがないように、収支の管理をしっかりとすることが大切です。

リボ払いで困ったら、任意整理という方法も

支払いが難しくなったリボ払い問題の解決方法として、任意整理という手続きがあります。任意整理では、利用先であるクレジットカード会社と今後支払う予定の手数料のカットや分割回数について交渉し、その後の返済計画を話し合いで決めていきます。任意整理を行なえば、いつまで経っても終わらないと感じていたリボ払いの返済について、完済までの見通しを立て、生活の再建をすることができます。

任意整理の費用

生活費をリボ払い。高収入でもリスクあり まとめ

  • リボ払いの手数料の利率はいくら?
    リボ払いは、支払残高に対し一般的に実質年率15〜18%の手数料がかかります。支払残高が多ければ多いほど、その分、手数料もふくらんでいきます。
  • リボ払いを解決できる任意整理はどんな手続き?
    任意整理では、利用先であるクレジットカード会社と今後支払う予定の手数料のカットや分割回数について交渉し、その後の返済計画を話し合いで決めていきます。

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