終わらないリボ払い問題〜リボ払いで支払残高が減らない仕組み〜

弁護士谷崎 広輝
<監修者> 弁護士 谷崎 広輝
それぞれのお客様の抱える問題に一緒に向き合うことの責任の重さを強く感じています。お客様の相談を受ける際には、一つとして同じ問題はないということを常に心掛けています。

リボ払いで支払残高は、なぜ減らないのか?

普段のショッピングでクレジットカードを利用して、返済方法をリボ払いに設定していると、毎月の支払額が定額で便利な支払方法だと思う一方で、なかなか支払残高が減らないと感じている方もいるのではないでしょうか?
リボ払いでは、利用した金額の支払いに加えて、手数料の支払いが発生します。ほとんどの会社で、手数料の実質年率は15%〜18%と高く設定されています。便利だと思ってリボ払いを使い続けると、いつの間にか支払残高が増えていて、その分、手数料も増え、支払いがいつまでも終わらなくなります。

手数料の計算方法

リボ払い手数料の実質年率は15%〜18%で設定されていることが多いのですが、具体的な金額として毎月の手数料はいくらくらいになるのかを計算してみましょう。
例えば、手数料の利率を実質年率15%として、支払残高が100万円の場合、毎月の手数料は次のようになります。

100万円 × 15% ÷ 365(日) × 30(日) = 1万2329円

毎月、元金を定額で支払う「元金定額方式」では、定額の元金支払いに加えて、手数料である1万2329円の支払いが必要になります。例えば、元金3万円を定額で支払っている場合、手数料とあわせて合計4万2329円を支払うことになります。
リボ払いには「元金定額方式」のほかにも「元利定額方式」という支払方法もあります。これは毎月の元金と手数料をあわせて定額で支払うというもので、例えば、毎月3万円を定額で支払うと設定した場合、内訳は元金1万7671円と手数料1万2329円になります。

「元金定額方式」で返済をしていて毎月の支払いが増えていると感じた方や、「元利定額方式」で返済をしていて毎月の支払いをしても支払残高が減らないと感じた方は、手数料の支払いが増えているのかもしれません。まずは、現在の支払残高がいくらになっているかを確認しましょう。

主なクレジットカード会社の実質年率一覧

カード名 リボ払いの実質年率 元金定額方式か元利定額方式
楽天カード 15.00% 元金定額方式
エポスカード 15.00% 元利定額方式
三井住友カード 15.00% 元金定額方式
クレディセゾン 15.00% 元利定額方式
イオン 15.00% 元金定額方式
ジャックス 15.00% 元金定額方式、元利定額方式
セディナ 15.00% 元金定額方式
Yahooカード 18.00% 元金定額方式
JCBカード 8.04~18.00%
※カードの種類によって異なる
元金定額方式

2021年6月時点ホームワン調べ。

リボ払いでお悩みだった相談者Aさんのケース

毎月の支払額が低いと返済が長期化する

支払残高を毎月の元金充当額で割れば、支払い終えるまでの回数(年月)が分かります。毎月の元金充当額が低いと、その分、元金がなかなか減らずに、支払期間が長期化していきます。
例えば、支払残高が100万円で、毎月の元金充当額が2万円であれば、支払い終えるには、50回(4年2ヶ月)かかります。
ただし、これは追加でクレジットカードの利用をせずに返済だけを進めた場合の話です。もし、返済中にもショッピングなどでクレジットカードを新たに利用して、支払残高が増えると、当然、支払期間が長くなっていきます。
また、手数料の金額は支払残高に対してかかるので、支払残高が増えると手数料も増えますし、支払残高が減らないと手数料も減りません。

残高スライドで返済が長期化する

リボ払いには、残高スライドという支払残高に応じて毎月の支払額が増減する仕組みがあります。支払残高が増えると毎月の支払額が増え、支払残高が減ると毎月の支払額が減るというものです。
しかし、返済を続けて支払残高を減らせたとしても、それに応じて毎月の支払額も減ると、それまでの支払額のペースで返済を続けるよりも支払いを終えるまでの回数が増えてしまい、支払期間は長くなります。
支払残高に応じてどのように支払額が変わるかは、下記のJCBカードの例をご参考にしてください。

JCBカードの残高スライド

支払残高 毎月の支払額
10万円以下 5000円+手数料
10万円超〜50万円以下 1万円+手数料
50万円超〜100万円以下 1万5000円+手数料
100万円超 2万円+手数料

ゆとりコースの場合。2021年6月時点ホームワン調べ。

2ヶ月分の生活費をリボ払いにした場合のシミュレーション

生活費を支払うためにクレジットカードをリボ払いで利用すると、支払残高や手数料がどのようになるのか、2ヶ月分の生活費をリボ払いした場合を例に見てみましょう。

・1ヶ月目(30日)の利用
生活費10万円の支払いにクレジットカードを利用した。
支払残高・・・10万円

・2ヶ月目の支払い
支払額・・・6233円(内訳:元金5000円、手数料1233円)
支払残高・・・9万5000円

・2ヶ月目(31日)の利用
生活費15万円の支払いにクレジットカードを利用した。
支払残高・・・24万5000円

・3ヶ月目の支払い
支払額・・・1万3122円(内訳:元金1万円、手数料3122円)
     ※残高スライドにより元金支払額が1万円に増えています。
支払残高・・・23万5000円

※ 手数料は、実質年率15%で、少数点以下を切り上げて計算した場合

10万円利用した1ヶ月目の次の月の支払いが6223円で、15万円利用した2ヶ月目の次の月の支払いが1万3122円と、毎月の支払額は6889円しか増えていません。
一方で、支払いをした後の残高は、1ヶ月目の9万5000円から、2ヶ月目の23万5000円に、14万5000円増えています。
これは極端な例ですが、リボ払いにしていると、このように月々の支払額を少なくできるため、支払残高が増えていることに気がつきにくくなるので注意が必要です。

また、2ヶ月で合計25万円を利用して、支払額は2ヶ月で合計1万9355円(約2万円)なので、感覚として残高は23万円くらいだと考えてしまうかもしれませんが、実際には手数料の支払いがあるため、支払残高は23万5000円です。
この手数料による実際の支払額と支払残高との微妙な感覚の違いが、リボ払いを長く続けているうちに支払残高を想像以上に増やしてしまう一つの要因といえるでしょう。

任意整理のメリット・デメリット

リボ払いで支払残高が増えすぎてしまい、現在の支払能力から完済の目途が立たなくなったときには、債務整理を検討するのも選択肢になります。

そのような場合の債務整理の方法の一つに「任意整理」というものがあります。任意整理は、原則、将来の利息(手数料)を発生させないようにして、その時点での支払残高を大体3~5年間で分割返済するという債務整理の方法です。リボ払いの手数料負担が大きくなりすぎて返済が困難な場合には、任意整理をすることで、完済の目途が立てられるというメリットがあります。

一方で、任意整理を行なうと、信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)に5年間その記録(異動情報・事故情報)が掲載される、いわゆる「ブラックリスト」という状態になるデメリットもあります。任意整理の対象としたクレジットカードが使用できなくなるのはもちろん、その他のクレジットカードも利用が制限されたり、新規で契約をしようとしても審査に通らなかったりします。

ホームワンの任意整理でかかる弁護士費用

任意整理にはメリットとデメリットがありますが、リボ払いの限度額を超えてしまって一括返済を求められたり、複数のクレジットカードをリボ払いで使用していて返済のために借入を繰り返していたりすると、常に返済のことを考えて生活を送らないといけなくなり、精神的にもつらく、普通の生活を維持することが難しくなっていきます。

ホームワンで任意整理をする場合、弁護士費用はクレジットカード会社1社につき4万4000円です(消費税込み、解決報酬・減額成功報酬なし)。また、弁護士費用は分割にすることも可能です。もし返済に追われる生活に苦しさを感じている方がおられたら、終わらないリボ払い問題を解決するために、任意整理という方法をご検討ください。

任意整理の費用

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