平成17年12月15日最高裁第一小法廷 判決(平成17年(受)第560号)

リボルビング払いを定める基本契約がある場合でも、17条書面には返済期間・返済回数と返済金額に準じた記載が必要となる

【要点】

貸金業法は、基本契約書や貸付時のATM利用明細に「返済期間及び返済回数」、各回の「返済金額」を記載するよう求めています。
しかし、通常、カードキャッシングでは、その後も借入があるため、毎月いくら返せばいつ完済するというかが確定しません。ただ、毎月の最低返済額が決まっており、今後借入をしなければ、いつ完済するという程度のことであれば、記載は可能であり、最高裁は、業者はその程度の記載をする義務があったとしました。

こうした記載がない場合、貸金業者は利息制限法上の上限金利を上回る金利をとることはできず、業者は過払金に利息をつけて返さなければなりません。

【判決】

以下、上告人は貸金業者を指しています。

「仮に、当該貸付けに係る契約の性質上、法17条1項所定の事項のうち、確定的な記載が不可能な事項があったとしても、貸金業者は、その事項の記載義務を免れるものではなく、その場合には、当該事項に準じた事項を記載すべき義務があり、同義務を尽くせば、当該事項を記載したものと解すべきであって、17条書面として交付された書面に当該事項に準じた事項の記載がないときは、17条書面の交付があったとは認められず、法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。」

「上告人は、返済期間、返済金額等を17条書面に記載すべき義務を免れるものではなく、個々の貸付けの時点での残元利金について、最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済する場合の返済期間、返済金額等を17条書面に記載することは可能であるから、上告人は、これを確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずるものとして、17条書面として交付する書面に記載すべき義務があった。」

「前記事実関係によれば、本件基本契約書の記載と本件各確認書等の記載とを併せても、確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載があると解することはできない。したがって、本件各貸付けについては、17条書面の交付があったとは認められず、法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。」

【解説】

貸金業法17条によれば、貸金業者は、貸付をしたら、遅滞なく、契約内容を明らかにした書面(これを「17条書面」といいます。)を、債務者に交付しなければならないとし、17条書面には、返済期間、返済金額等の記載をするよう求められています。
そして、旧貸金業法43条1項によれば、利息制限法の上限金利を超える金利(グレーゾーン金利)の支払いが有効なものとみなされるには、業者が債務者にこうした17条書面を適正に交付されることが必要とされていました。

業者は「本件基本契約は、返済方法について返済額の決定を借主にゆだねる内容となっているため、業者において法17条1項6号に掲げる「返済期間及び返済回数」や施行規則13条1項1号チに掲げる各回の「返済金額」を記載することは不可能であるから、業者が借主に対して法17条1項所定のその余の事項を記載した書面を交付していれば、17条書面を交付したことになるのであって、本件各弁済は法43条1項の規定の適用要件を満たしており、利息制限法規定の上限金利を超えて支払った利息部分も有効な弁済とみなされる」と主張しました。

しかし、貸金業法17条1項6号及び貸金業法施行規則13条1項1号チが17条書面に返済期間、返済金額等の記載をすることを求めた趣旨・目的は、これらの記載により、借主が自己の債務の状況を認識し、返済計画を立てることを容易にすることにあると解されます。

リボルビング方式の貸付けがされた場合において、個々の貸付けの時点で、上記の記載がない書面が17条書面として交付されても、上記の趣旨・目的が十全に果たされるものではないことは明らかな反面、確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をすることは可能であり、かつ、その記載があれば、借主は、個々の借入れの都度、今後、追加借入れをしないで、最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合、いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ、完済までの期間の長さ等によって、自己の負担している債務の重さを認識し、漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるのですから、これを記載することが上記の法17条1項の趣旨・目的に沿うものといえます。

そのため「本件各貸付けについては、17条書面の交付があったとは認められず、法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。」としたのです。

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