個人再生とさまざまな保険(生命保険、学資保険など)との問題点とは?

個人再生をする場合、さまざまな保険の取り扱いが問題となります。このページでは、個人再生と生命保険、学資保険、個人年金保険、自動車保険、火災保険との関係について、それぞれ説明します。

個人再生における保険の取り扱い

個人再生では、保険は資産として扱われます。その資産の評価方法は解約返戻金が基準となります。解約返戻金の額によっては、個人再生後の返済額に影響するケースがあるなど、個人再生における保険の取り扱いについて正しく理解しておくことは大事です。

個人再生とは

個人再生は、裁判所に「再生計画」の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。個人再生の手続きは、自分が住んでいる地域の裁判所に申し立てて行ないます。申立て後、裁判所から個人再生をすることの許可を得たら、債権者への返済計画(「再生計画案」)を作成して、裁判所に提出します。提出した「再生計画案」を裁判所が認可したら、認可を受けた「再生計画」に基づいて債権者へ返済をします。

「再生計画案」は、債務状況に基づく「最低弁済基準」と、資産状況に基づく「清算価値基準」を比較して金額の大きい方の基準で作成します(小規模個人再生の場合)。

例)負債総額600万円、資産総額180万円の状況で個人再生を申し立てた場合
最低弁済基準120万円(600万円を5分の1に圧縮) < 清算価値基準180万円

このケースでは個人再生での返済額は清算価値基準の180万円になります。 なお、「再生計画案」は原則3年(36か月)を返済期間として作成しますので、このケースでの月返済額は5万円(180万円÷36か月)となります。 「再生計画」に基づく返済が完了したら残りの債務(600万円-180万円=420万円)は免除されます。 つまり、このケースでは600万円の債務に対して180万円を返済すれば、借金問題が終わります。 このように、個人再生は資産を処分せずに、債務を大幅に圧縮することができるため、返済負担の軽減効果が高い債務整理といえます。

また、個人再生では、住宅ローンが残っている自宅については、住宅資金特別条項(いわゆる「住宅ローン特則」)を利用できれば、そのまま住宅ローンの返済を継続することで、自宅を手放さなくてすむという特徴もあります。

解約返戻金は清算価値に含まれる

個人再生では、清算価値基準が最低弁済基準よりも高くなると、清算価値基準の金額を返済していくことになります。保険の解約返戻金は、清算価値に含まれます。そのため、解約返戻金が高額である場合、最低弁済基準を上回る可能性があります。

自己破産と異なり、個人再生手続では、保険を解約して解約返戻金を債権者に配当する必要はありません。しかし、解約返戻金が高額で清算価値基準が上昇し、返済能力を上回るケースでは、裁判所が再生計画を認可しないので、やむをえず、保険を解約して返済にあてざるをえないこともあります。

契約者貸付はどうなる?

現時点で、すでに契約者貸付を受けている方は、解約返戻金から契約者貸付を控除した額が清算価値に計上されます。個人再生を検討していて、これから契約者貸付を利用しようとしている方は、手続きに悪影響を及ぼしますので、まずは弁護士にご相談ください。

学資保険の場合

他の保険と同様に、学資保険の解約返戻金も清算価値として計上されますが、解約する必要はありません。子供に学資保険を残したいと考えている方は、個人再生を検討することになります。ただし、学資保険は、加入歴が長くなるケースが多く、解約返戻金が高額になりやすい保険のため、調べてみたら清算価値を押し上げるといったケースが見られ、注意が必要です。なかには、自身の解約返戻金を把握していない方もいるので、まずは確認してみましょう。

個人年金保険の場合

学資保険と同様に、個人年金保険は解約返戻金が高額になりやすく、しかも解約返戻金があると思っている方が少ないようです。

自動車保険の場合

自動車保険には、強制加入の自賠責保険と任意で加入する任意保険があります。それぞれについて、個人再生で問題となるか説明します。

自賠責保険

自賠責保険は個人再生では問題となりません。強制加入の自賠責保険の解約返戻金は廃車となるときに発生するため、原則として個人再生手続では清算価値に計上されません

任意保険

任意保険では、自賠責保険と異なり、中途で解約が可能です。そのため、他の保険と同様に、解約返戻金が清算価値に計上されます。月毎に自動車保険料を支払っている場合は、解約返戻金は発生しませんが、年払いしている場合は、解約返戻金が発生し、清算価値に計上されます。

火災保険の場合

火災保険も、他の保険と同様に、解約返戻金が清算価値に計上されます。ただし、他の保険と異なるポイントもあるので、注意しましょう。

契約期間が長く高額になる

住宅の火災保険は、10年や30年といった長期の契約期間が設定されていることがほとんどです。上記のような長期の契約期間の保険料を一括払いしている場合、支払った直後に個人再生をするケースでは、解約返戻金が高額になってしまうことがあります。

住宅ローンが残っているケースでは清算価値が0円のケースも

住宅ローンの債権者は、住宅が火災で失われた場合に払われる火災保険に質権を設定しているケースがあります。このケースでは、債務者は火災保険を自由に解約できないため、火災保険の解約返戻金は債務者の財産とみなされなくなります

個人再生におけるホームワンの強み

任意整理では解決できないような多額の借金を抱えている方や、持ち家や学資保険等、処分したくない財産がある方に、個人再生は向いています。しかし、保険の解約返戻金が高額になると、返済額が大きくなってしまうケースもあります。まずは、自身の保険は掛け捨てなのか、解約返戻金が発生するタイプなのか、解約返戻金が発生するとしたら、いくらなのか把握しましょう。

個人再生と保険の問題についてお悩みなら、これまで数多くの債務整理の相談を受け、豊富なノウハウを持つホームワンにご相談ください。

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個人再生とさまざまな保険(生命保険、学資保険など) まとめ

  • 個人再生における保険の取り扱いは?
    個人再生では、保険は資産として扱われます。その資産の評価方法は解約返戻金が基準となります。
  • 解約返戻金は清算価値に含まれる?
    保険の解約返戻金は、清算価値に含まれます。そのため、解約返戻金が高額である場合、最低弁済基準を上回る可能性があります。
  • 自動車保険の任意保険はどうなる?
    月毎に自動車保険料を支払っている場合は、解約返戻金は発生しませんが、年払いしている場合は、解約返戻金が発生し、清算価値に計上されます。

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代表弁護士中原俊明
中原 俊明法律事務所ホームワン 代表弁護士

東京都出身、1987年 弁護士登録(東京弁護士会所属)、ホームワンの代表弁護士 中原です。一件のご相談が、お客さまにとっては一生に一度きりのものだと知っています。お客様の信頼を得て、ご納得いただける解決の道を見つけたい。それがホームワンの願いです。法律事務所ホームワンでは過払い金・借金問題に関する相談を受け付けています。

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