個人再生と相続財産

個人再生で相続財産がどのように扱われるかはケースによって異なりますので、すでに相続している方やこれから相続する可能性がある方は、自分がどのケースに当てはまるか事前に知っておくことが大事です。ここでは、遺産分割未了の相続財産がある場合、遺産分割協議で自分の取り分を0円にした場合、個人再生の検討から認可決定までに相続が発生した場合、認可決定後に相続が発生した場合についてそれぞれ説明します。

個人再生での相続財産の扱い

個人再生は、裁判所に「再生計画」の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。個人再生の手続きは、自分が住んでいる地域の裁判所に申し立てて行ないます。申立て後、裁判所から個人再生をすることの許可を得たら、債権者への返済計画(「再生計画案」)を作成して、裁判所に提出します。提出した「再生計画案」を裁判所が認可したら、認可を受けた「再生計画」に基づいて債権者へ返済をします。

「再生計画案」は、債務状況に基づく「最低弁済基準」と、資産状況に基づく「清算価値基準」を比較して金額の大きい方の基準で作成します(小規模個人再生の場合)。

個人再生手続では、自分の財産は資産価値として計上されることになるため、相続で取得した財産も清算価値として計上します。一方で、相続が発生したタイミングによって取り扱いが異なってくるので、注意が必要です。個人再生手続に関連した相続の発生タイミングには、大きく分けて、以下の3つのケースがあります。

個人再生に関する相続の発生タイミング

  • ① 個人再生を検討した時点で、相続が発生した場合
    ①-1 遺産分割未了の相続財産がある場合
    ①-2 遺産分割済の場合
  • ② 個人再生の検討から認可決定までに相続が発生した場合
  • ③ 認可決定後に相続が発生した場合

それぞれのタイミングで、注意するポイントが異なります。例えば、個人再生を検討した時点で相続が発生していた場合、遺産分割未了の相続財産があるケースや遺産分割協議で自分の取り分を0円にしたケースが、相続財産の取り扱いについて問題となります。ケース毎の相続財産の取り扱いについて把握することが、個人再生手続では重要です。

① 個人再生を検討した時点で、相続が発生した場合

①−1 遺産分割未了の相続財産がある場合

遺産分割未了の場合、法定相続分の相続財産を清算価値として計上する必要があります。相続財産はないと思っていながら、実は遺産分割が未了なだけで、相続財産があったというケースがあります。具体的には次のようなケースが挙げられます。

①-1-1 遺産を把握していない

「何ももらってないからないはずだ」と思い込んでいる方もいます。実際は、遺産を把握しておらず、話し合い自体行なわれていないだけで、実際には相続財産があったというケースがあります。

①-1-2 口頭で話し合って相続しなかった

「父親が亡くなったときに、母親と兄弟姉妹と話し合って、すべての遺産を母親が引き継いだ」という方もいます。しかし、よくお話をうかがうと、当事者同士が口頭で話し合っただけというケースがあります。

遺産分割協議で自分の取り分を0円にした場合

遺産分割協議で自分の取り分を0円にした場合でも、相続財産を清算価値として計上しなければならないケースがあります。特に、個人再生を検討してから認可決定に至るまでに、遺産分割未了の相続財産が判明したケースでは、遺産分割協議で自分の取り分を0円にすると、不当に財産を減少させたとみなされ、法定相続分を清算価値に計上しなくてはいけません。

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議書の作成をもって、遺産分割協議の成立となります。遺産分割協議書は、その後の名義変更などの相続手続で必要書類になります。遺産分割協議を口頭でするだけではなく、必ず遺産分割協議書を作成しましょう。また、相続財産に不動産がある場合は、相続登記までしっかり行ないましょう。

参考)遺産分割協議書の作成

①-1-3 相続は放棄したと思い込んでいる

ご相談者の中には「相続は放棄した」と言われる方がいます。しかし、実際は、家庭裁判所での申述をしておらず、相続放棄できていないケースがあります。

今から相続放棄できる?

遺産分割未了の相続財産がある方が、今から相続放棄したいと考えた場合、はたして相続放棄できるのでしょうか?相続開始から3ヶ月過ぎているケースでは、原則として相続放棄はできません。相続放棄ができないケースでは、法定相続分の相続財産が清算価値として計上されることになります。

参考)相続放棄とは

①−2 遺産分割済の場合

個人再生手続では、相続で取得した財産を含め、自分名義の資産の全てを清算価値に計上します。ただし、借金問題を抱える以前の相続で、自分の取り分を0円にするという遺産分割をしていた場合は、清算価値として計上する必要はありません。なお、家庭裁判所で相続放棄をしている場合についても、計上する必要はありません。

② 個人再生の検討から認可決定までに相続が発生した場合

個人再生を検討した時点から認可決定までに相続が発生した場合は、相続財産の内容によって対応を検討します。検討する選択肢としては、相続放棄か相続するかです。相続した場合は、取得した相続財産を清算価値に計上するため、個人再生手続での返済額が増加する可能性があります。一方で、相続財産の規模によっては、個人再生手続ができなくなる可能性もあります。このように、個人再生手続に与える影響が異なりますので、ご自身だけで判断せずに、早めに弁護士に相談しましょう。

③ 認可決定後に相続が発生した場合

個人再生手続での清算価値算定の基準時は認可決定時となるため、認可決定後に発生して取得した相続財産は清算価値には含まれません。そのため、認可決定後に、相続が発生し、相続財産を取得したとしても、個人再生手続に影響はありません。

個人再生におけるホームワンの強み

ホームワンには、個人再生手続の実績が多くあります。相続財産がある方の個人再生手続も依頼者にとってベストな方法を考え、解決してきました。ホームワンは、これまでの実績やノウハウに基づいて、最適な手続きや方針をご提案することができます。個人再生手続をご検討の方は、まずはホームワンにご相談ください。

あなたが相談したいときに何度でも

個人再生は、人生の再チャレンジとして重大な手続きです。一度話しただけでは、手続きに踏み切ることが難しい方もいらっしゃいます。手続きを理解・納得して進めることが非常に重要です。そのため、ホームワンでは何度でも無料相談をお受けし、お客様の疑問や不安を解消することに努めています。

日本全国どこからでも

個人再生は裁判所によって運用に違いがあります。ホームワンは、長年、全国の裁判所で個人再生に取り組んできており、全国的な実績とノウハウがあります。どちらにお住まいの方でも、安心してご相談ください。

個人再生と相続財産 まとめ

  • 個人再生での相続財産の扱いは?
    相続で取得した財産も清算価値として計上します。一方で、相続が発生したタイミングによって取り扱いが異なってくるので、注意が必要です。
  • 個人再生の検討から認可決定までに相続が発生した場合の扱いは?
    相続財産の内容によって対応を検討します。相続した場合は、取得した相続財産を清算価値に計上するため、個人再生手続での返済額が増加する可能性があります。
  • 認可決定後に発生して取得した相続財産の扱いは?
    清算価値には含まれません。そのため、認可決定後に、相続が発生し、相続財産を取得したとしても、個人再生手続に影響はありません。

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代表弁護士中原俊明
中原 俊明法律事務所ホームワン 代表弁護士

東京都出身、1987年 弁護士登録(東京弁護士会所属)、ホームワンの代表弁護士 中原です。一件のご相談が、お客さまにとっては一生に一度きりのものだと知っています。お客様の信頼を得て、ご納得いただける解決の道を見つけたい。それがホームワンの願いです。法律事務所ホームワンでは過払い金・借金問題に関する相談を受け付けています。

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